[土鍋で炊き込みごはん#24]土鍋ごはん
Discover LIFE読者のみなさま、こんにちは。
土鍋料理研究家の塚田綾です。
実は、「土鍋で炊き込みごはん」は今回が最終回! 2年間実に楽しく、自由にレシピを綴らせていただきました。ありがとうございました。
最後はどんなごはんがいいかなぁと考えていましたが、今後検索などでこの記事に辿り着いた方々が「土鍋炊飯」の仕組みや方法を知り、土鍋を用いた炊き込みごはんを炊くための助けになるような、基本の土鍋ごはんの炊き方を書き記しておきたいと思いました。
そんなわけで、最終回は「土鍋ごはん」です! 炊き込みごはんにする場合の注釈も書き添えておきます。
土鍋炊飯は、慣れさえすればだいたいどんな炊き込みごはんもアレンジして炊けるようになります。ぜひ土鍋を自在に使いこなして、季節の旬食材を組み合わせて楽しんでみてください。
土鍋は蓄熱力が高く、金属鍋のようにすぐには温まりませんが、一度熱を蓄えたらなかなか冷めない鍋です。この「のんびりとした熱伝導スピード」が、自然に米を美味しく炊き上げてくれますので。
土鍋ごはん
【使用土鍋】
使用した土鍋は、容量が1500㎖〜のものです。
2〜3人で鍋料理をするのにちょうどいい、中サイズの土鍋です。
一般的な白米は、1合が150gです。
そして、1合の米を炊くために必要な水は200㎖です。
今回は2合の米を炊くので
白米 2合(300g)
水 400㎖
を準備します。
まずは米を洗います。
精米技術が進んだ最近の米は、一生懸命研がなくても大丈夫。大きめのボウルに米を入れ、水道水をたっぷり注いで、すぐに水を捨てます。そのあと再度水をボウルの半分ぐらいまで注ぎ、指を開いてぐるぐると混ぜるように10回ほど動かし、水を捨てます。5回ほどこれを繰り返し、水がある程度澄んできたら米をザルにあげ、5〜10分水切りします。長時間水切りすると米が乾燥して割れたりするので注意。
水切りが終わった米をボウルに入れ、400㎖の水を注いで20分以上そのままおいて浸水します。浸水時間が20分より短いと、固めの食感に炊き上がります。
20分程度の浸水であれば、土鍋で行っても問題ありません。一晩とか、長時間浸水する場合は必ず別容器で浸水します。土鍋が水を吸収し、炊飯に必要な水が減ってしまうためです。
浸水が終わった米と水を土鍋に移し入れ、ふたをして中強火にかけます。
中強火とは、炎が土鍋より外側に出ない火力です。炎が土鍋底部を包み込んでいる、それぐらいがちょうどいい火力です。火が大きすぎるとガスがもったいないだけでなく、余分に蓄熱して焦げついたり、吹きこぼれた場合のリカバリもなかなか難しくなります。
中強火にかけたら、だいたい5分でふたの穴から蒸気がふわふわと出てきて、少し沸騰してきます。
この段階ですぐに火力を最小に下げます。
このとき、ふたを開けて沸騰を確認してもかまいません。
大きな沸騰になっていたら確実に吹きこぼれますので、その場合は少しふたを開けたまま様子を見ます。沸騰が落ち着いたらふたをしてください。
火を弱火にしたら7分加熱し、火を止めます。
そのまま15分余熱調理し、炊き上がったらすぐにしゃもじでごはんをほぐして完成です。
ほぐさずそのまま冷ましてしまったら、ごはんの粒同士がくっついて食感を損ねるので、必ず早めにほぐしてください。
今回使ったサイズの土鍋は白米なら3合炊けます。でも私は炊き込みごはんを作る場合は具材が増えることを考慮して、2合炊くようにしています。少し余裕を持たせないと、鍋の中身が窮屈になり、100%の仕上がりにはならないと思っているからです。
逆に、半合や1合など、少ない量も美味しく炊けないと思っています。鍋内の食材が少ないと土鍋の蓄熱が過剰になり、焦げたり仕上がりが固くなったりします。土鍋ごとの「最適な量」でお楽しみください。
土鍋炊飯に慣れないうちは、加熱中はできるだけ土鍋のそばにいて、土鍋を見守ってください。
ふきこぼれたらふたを開けてかまいません。
まずは火を弱火にして、沸騰が落ち着くまでふたを開けたりずらしたりして、土鍋のご機嫌を取ってください。
ではでは、みなさまも良き土鍋ライフを〜!
この記事を書いてくれた人:塚田 綾(長谷製陶株式会社)
グラフィックデザイナーとして土鍋のカタログ作りに携わるうちに、料理好きということもあり土鍋の虜に。以来、15年間ほぼ毎日土鍋で家族の食事を作り、土鍋レシピを提案し続けています。
伊賀焼窯元 長谷園「webレシピ」にて土鍋レシピを担当。