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東西「親子丼」対決!

みんな大好き卵料理! の大定番である「親子丼」。
割下などで玉ねぎと一緒に鶏肉を煮て、溶き卵でとじ、ふたで蒸らしてふわっと仕上げ。丼ご飯にのっけて、三つ葉や刻み海苔をちらして出来上がり。

「親子丼」は鶏の肉と卵を使うことに由来し、家庭でできる簡単料理です。
昔から蕎麦屋の定番料理であり、近年は親子丼専門店も人気ですね。
レトルト品に、最近はフリーズドライまであり、身近すぎる存在の「親子丼」。その起源は東京と大阪とされ、他の丼と比べてはっきり記録に残っているようです。

親子丼の起源 「東京vs.大阪」

親子丼発祥の店舗として広く知られているのは、東京・日本橋人形町にある、1760年創業の老舗鶏料理店『玉ひで』です。
初代は将軍の御前で熟練した包丁技を披露することを許された「御鷹匠」の家に生まれた山田鐡右衛門。
上客だけを対象にした軍鶏鍋屋を営みつつ、武家屋敷などで鳥料理を振る舞っていました。
その後「親子丼」が誕生したのは、創業から100年以上経った1891年。
馴染み客が軍鶏鍋の残りの割下に卵を入れてとじ、ご飯にすくって食べたのを見ていた五代目の妻が考案したとされています。
しかし老舗料理屋として、汁かけ飯を店のメニューとして出すわけにいかないということになり、「親子丼」は出前専用の料理としてスタートすることに。
これが日本橋界隈の人々の間で大好評となり、瞬く間に東京中に広がりました。
ちなみに『玉ひで』の店舗で供されるようになったのは、1979年になってからでした。
 
一方、大阪では1903年、第5回内国勧業博覧会の目玉料理として、大阪の料亭『鳥菊』店主の内本松次郎が考案した親子丼が、現在日本全国で親しまれている親子丼と非常に近いとされています。
こちらは鶏肉と白菜、ネギの煮込みを卵でとじ、ご飯に乗せたものだったようで、あっという間に関西一円の食堂で提供されるようになったとされています。

東西親子丼の味の違い

親子丼の特徴は、①鶏肉を出汁(割下)で煮込む、②卵とじにするの2点です。半熟にしたりしっかり目にしたりと、卵とじの方法は店それぞれですが、出汁(割下)の味付けには、関東と関西で大きく違いがあります。
関東風の親子丼は、濃口醤油とみりんが効いたものが中心で、色が濃く、具材には玉ねぎや白ネギを使用することが多いです。
一方関西では、白だしを効かせた薄色のものが多く、具材には青ネギが使用されることが多いです。
この特徴は、東西のうどんの違いによく似ています。

「他人丼」と「いとこ丼」

鶏の代わりに牛肉や豚肉などを使って卵でとじたものを「他人丼」といいます。
由来は「鶏と卵は親子だけど、牛肉と卵は他人だ」という単純なもの。
また、鴨肉を卵でとじたものを「いとこ丼」ともいいます。
こちらは鴨と鶏が同じ鳥類というところから来ているようです。
いずれも関東で見かけることがほとんどない、関西発祥の洒落の効いた食文化です。

この記事を書いてくれた人:江戸川渓谷(えどがわけいこく)
プロフィール:三度の飯とおにぎりが好き。趣味は道の駅めぐりに商店街散策、メタボ対策のトレッキング。うまいものは足で稼ぐのが信条。ゲットした惣菜で晩酌するのが最近の楽しみ。

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