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真ん中に梅干しを入れるだけはNG。本当に腐りにくい「梅干しおにぎり」の作り方

あらゆる面で夏場に最適な「梅干しおにぎり」

日本が誇る伝統食品「梅干し」。
梅干しには「リンゴ酸」や「クエン酸」が豊富に含まれており、疲労回復、食欲増進、整腸作用といった効果が期待され、夏の暑さやエアコン冷えなど、疲れた体にはぴったりの食材です。

また、梅干しに多く含まれる「塩」と「酸」には食物の劣化を防ぐ効果があり、暑さで食中毒のリスクが高まる夏場にはうってつけの食材です。

おにぎりをつくる際も「具は梅干しだと安心」という方は多いと思います。
しかしこの考えは▲、半分正解で半分誤り!

梅干しおにぎりであっても、作り方を間違えると食中毒リスクは減りません。そもそも食べ物はどうして腐ったり、食中毒を引き起こしたりするのでしょうか?

「発酵」と「腐敗」の違い

私たちがおいしいものは、細菌やカビといった微生物たちにとっても好物。微生物は肉眼では見えませんが、土の中、空気中、そして人体にも、ありとあらゆる場所に存在しています。
衛生的な食品工場でさえも微生物を完全にゼロにすることは難しく、おいしいものを食べるには、微生物とうまく付き合っていく必要があります。

食べものに付着した微生物は、生育に適した温度になると水分や糖などをエサにし、分裂しながら増殖していきます。
この過程で食べ物の成分が分解されていくのですが、食べものが変質した結果、食べられなくなる状態が「腐敗」です。

一方、同じように微生物によって食べものの成分が変質する場合でも、
人間にとって有益な場合は「発酵」と呼ばれます。

発酵食品の代表的なものは、味噌や醤油、ヨーグルト、チーズなど。
微生物は食べものを、よりおいしくしてくれるのですね。

「発酵」と「腐敗」の違いは、人間にとって有益か否かだけです。
ちなみに、たんぱく質が分解されて有害な物質を生成する場合は「腐敗」、
炭水化物や脂肪が分解されて風味が悪く食用に適さなくなることを「変敗」と使い分けることもあるようです。

本当に腐りにくい「梅干しおにぎり」の仕組みと作り方

さて、本題に戻ります。
食中毒は、食中毒の原因菌やウイルスが繁殖することで起こります。
菌の繁殖は食べものの腐敗をもたらすことが多いので、目で見てわかりやすいですが、菌が発する毒素やウイルスは、見た目や臭いの変化が起きにくいので厄介です。

まず、原因となる菌&ウイルスを極力食べものに付着させないことが第一。
おにぎりを作る上で、一番大切なことは「手洗い」です。

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次に、菌やウイルスを繁殖させないような仕掛けが必要になります。
ポイントとなるのは「塩」と「酸」。

どちらも多く含む梅干しはうってつけの食材ではあるのですが……。残念ながら、まわりのご飯が糖と水分のカタマリであるため、ご飯の真ん中に梅干しを入れるだけでは抗菌効果は薄いのです。

そこで、夏場の梅干しおにぎりには、こんな工夫をしてみてください。

梅干しを刻んでご飯に混ぜてからにぎる。
手塩ではなく、ご飯に塩を混ぜてからにぎる。
ほんの少しご飯に酢を加えて混ぜてからにぎる。

要するに「塩」と「酸」をご飯全体になじませるのがポイント。
塩はいつもより少し多め(ご飯1合で5g程度)がよいでしょう。
酢はご飯1合に対して、2〜3mL程度入れれば十分です。

最後に、この時期あまりお勧めできないおにぎり具材は、油分と水分の多い「ツナマヨ」です。
ご飯自体の劣化を早めるだけでなく、気温が高いと油分が酸化しやすいため、特に注意が必要です。
どうしてもというときは、油分をしっかり切ったうえで上記のを試し、長時間持ち運ぶ際は必ず保冷剤を添えるようにしましょう。


この記事を書いてくれた人:江戸川渓谷(えどがわけいこく)
プロフィール:三度の飯とおにぎりが好き。趣味は道の駅めぐりに商店街散策、メタボ対策のトレッキング。うまいものは足で稼ぐのが信条。ゲットした惣菜で晩酌するのが最近の楽しみ。

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