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田んぼアートをご存じですか? 有色米あれこれ

「田んぼアート」。
中々聞きなれない言葉ですよね。

田んぼ全体をキャンパスに見立てて、稲によって絵を描く作品のことを指しているようです。このアートの要となる稲は、有色米を使っているのだとか……?

ざっくり説明! 田んぼアートって?

水田を巨大なキャンバスに見立て、色の異なる稲を使って大きな絵を描き出すことを、田んぼアートと言っているようです。アートに使う稲は、人口着色料で染めるのではなく有色米などを使います。

アートの下絵を考えたら、有色米の苗を作付け。苗が育つにつれてそれぞれの色の違いが現れ、水田に巨大な絵柄や文字が浮かび上がります。
少しずつ見え始める美しい絵、そして移り行く色合い……。稲を刈るまで、その時々のアートを鑑賞することができます。

田んぼアートはこうやって作る

有色米とは、表面に濃い紫色や赤色がついたお米のこと。紫黒米、赤米と呼ばれたりもしています。古代の日本では、有色米が栽培されていたという説があることから、古代米と呼ばれることもあるようです。
有色米は普通のお米とは葉や実の色が異なるため、田んぼアートに使われています。

稲で表現できる色は、主に緑・黄・紫・赤・橙・白などです。お米の品種でいえば、ななつぼし(緑) 、黄大黒(黄)、紫稲(紫)、べにあそび(赤)、あかねあそび(橙)、ゆきあそび(白)などです。

どの場所にどの種類の有色米の苗を植えるかが、腕の見せどころ。
アートの下絵に合わせて計画的に作付けが行なわれます。

田植えの時は絵柄が良く分からなくても、稲が実る時期になると田んぼに巨大な絵が浮かび上がるのも、何だかドラマティックですよね。

ところで、有色米は食べることができるの!?

有色米は、食物繊維・ミネラル・ビタミンなどを含んでいて栄養価が高いことが知られています。例えば赤米に含まれているタンニンや紫黒米に含まれているアントシアニンというポリフェノールの一種は、活性酸素を取り除く抗酸化作用、血糖値の上昇を抑制する働きがあるといわれています。

収穫量が少なく出回ることも少ないので、お店で見かけたらぜひ買ってみたいですね。

美しき田んぼアートをご紹介

それでは実際の田んぼアートをいくつかピックアップしたいと思います。

田んぼアート菊川

①静岡県「田んぼアート菊川」

2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」にちなみ、紫式部を描写。富士山を背景に書をしたためている姿を描きだしています。近くのやぐらから眺めることができるのが特徴です。

直江兼続の田んぼアート

②山形県「直江兼続の田んぼアート」

地元の特産米と有色米を植え付け、土地の名将直江兼続を描いています。webカメラによるライブ配信も見ものでしたが、惜しまれつつ2023年度をもって終了しました。

吉延の棚田

③高知県「吉延の棚田」

「アートと一緒に棚田の美しさも感じてほしい」との想いから実施されている田んぼアートです。干支の寅などをはじめ、動物が鮮やかに浮かび上がっています。

地元の方はもちろん、県外の観光客も多く訪れている田んぼアート。例年7月中旬から8月中旬にかけて、見頃を迎えます。この時期は稲が隙間なくびっしりと成長し、発色がよいため、アートが一番綺麗に言えるのだとか。8月18日は、お米の日でした。今年の秋も実りに感謝しつつ、美味しいお米をいただきましょう。

この記事を書いてくれた人:井上リエ
プロフィール:東京都在住。図書館司書を経て、ライター活動中。食べること料理すること、玄米とワインを愛する食いしん坊。
趣味はヨガ、旅行、ハーブの栽培で、健康と美容への探求心も旺盛。