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「お米の輸出と輸入」から見る、日本の今と未来へのチャンス

日本の食料自給率

2020年、日本の食料自給率は37.17%(カロリーベース)と過去最低を更新しました。

諸外国と比べ、突出して低い数字です。
残念なことですが……。

その理由としては、米食や魚離れが進み、小麦・肉・乳製品の輸入が増えていることが挙げられます。
自給率は食材によってまちまちですが、「さすがにお米は100%のはず」と、気軽な気持ちで農水省のページを見ていたら。

お米の自給率はなんと97%!

国内のお米って余っているはずでは……??
このカラクリは「ミニマムアクセス米」にあります。

日本に輸入されているお米「ミニマムアクセス米」とは

1994年に最終合意に至った、ガット・ウルグアイ・ラウンド(WTO協定)。
それまで輸入がほとんど行われていなかったお米についても、最低限の輸入枠が設定されました。
その枠で輸入されたお米を「ミニマムアクセス米」と呼び、現在その量は何と77万トン!
国別ではアメリカ38万トン、タイ37万トン、以下オーストラリア、中国、EU
と続きます。
一方、農水省が発表した2022年産の主食用米の適正生産量は675万トン。
国内の主食用米の生産量に対し、実に10%以上のお米を輸入しているのです。
実際には主食用米の自給率はほぼ100%。
ミニマムアクセス米の大半は、米菓用や飼料米などに利用されます。
お米の自給率が97%となっている理由は、米菓用を含めた食品に利用されるミニマムアクセス米が3%程度占めているため、ということになります。
一方、国産でもコメ余りのため飼料米に転用されるお米も増やさざるを得ないのが現状で、政府の補助金で価格補填するという、なんともいびつな状況になっています。

「お米の輸出」はどうなっている?

一方、お米の輸出はどの程度あるのでしょう。
直近の2021年の実績で、コメ及びコメ加工品で4.5万トンの輸出となっています。
輸入量(ミニマムアクセス米/77万トン)と比べると、わずか6%程度に過ぎません。
しかも、ここには日本酒(生米換算量)が1.8万トン、パックごはん1.1万トン、米菓4千トン等が含まれており、純粋な「コメ」の輸出は、わずか2.3万トンしかありません。
それでも4年前(2017年)に比べれば、倍の量に増えています。
輸出先を国別で見ると、香港9千トン、シンガポール5千トン、アメリカ2.2千トン、以下、台湾、オーストラリア、中国と続きます。
ちなみにパックごはんの輸出量は、アメリカ、香港、台湾の順。
米菓の輸出量は、アメリカ、台湾、香港の順。
日本酒の輸出量は、中国、アメリカ、香港の順となっています。

「日本米」の輸出を伸ばすには

日本で作られるお米は、ほぼ100%ジャポニカ種という品種です。
しかし、世界で見るとジャポニカ種の割合は15%程度しかなく、大半はインディカ種です。
一方、世界には和食店が13万店舗もあるとされています。
ただ、残念ながら海外の和食店の多くの店は日本産米を使っていないのが現状です。
世界遺産にも認定されている「和食」こそ、日本米を広げるきっかけになるはず。
日本酒をはじめ、日本のお酒が世界的に高い評価を得ている今、世界の和食店に日本米を広げるチャンスではないでしょうか。

この記事を書いてくれた人:江戸川渓谷(えどがわけいこく)
プロフィール:三度の飯とおにぎりが好き。趣味は道の駅めぐりに商店街散策、メタボ対策のトレッキング。うまいものは足で稼ぐのが信条。ゲットした惣菜で晩酌するのが最近の楽しみ。

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