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【長野県郷土料理】明日は「はんごろし」にする? いや「みなごろし」がいいな

なんだか物騒なタイトルですが……、
今回ご紹介するのは長野県に伝わる郷土料理です。

長野県ではさらに「てうち」も得意なのだとか……。

「は、は、はんごろし!? 逃げろ~!」

早速ですが、昔話をひとつ。
山の中で道に迷った旅人が、見知らぬ民家に泊めてもらうことになりました。すると夜中に隣りの部屋からヒソヒソと話し声がします。

「明日は『はんごろし』にするかい?」
「いや『みなごろし』だなぁ」
「よし『てうち』もしようか」

それを聞いた旅人は「ひぇ~!」と一目散に逃げ出しましたとさ。
 
長野県では、ぼたもちやおはぎのことを「半ごろし」と呼んでいます。もち米をしっかりついておもちにしたものを「みなごろし」といい、もち米を半分ほどつぶしたものを「はんごろし」というそうです。そして「てうち」とは手打ちそばのこと。
客人をもてなすための会話を勘違いして、逃げ出したという昔話なんですね。

小豆、きなこ、枝豆……たっぷりまぶして

「はんごろし」にまぶすのは、定番の小豆、きなこのほかに、すりつぶしたくるみや枝豆、青のりやすりごまなど様々あります。枝豆をすりつぶしたものは「のたもち」とも言われ、夏から秋にかけて旬の味として親しまれてきました。また赤い色の小豆は魔除けの力があるとされ、ハレの日の食卓に欠かせない料理だったそうです。仏様用にはまん丸に、自分たちには俵型に丸めて作ります。

お鍋一つで「はんごろし」ができた! いつもみたいにお米を炊いてつぶすだけ

きねやうすなど専用の道具が必要ないので、自宅でも簡単に作れそうな気がしてきます。早速、クッキングスタート!

「はんごろし」の作り方

【 材料 】2人分 10個程度
・もち米 1.5合
・白米(うるち米) 1合
・水 250㎖程度 
・あんこ(市販) 200g程度
・きなこ 大さじ2杯
・砂糖(きなこ用) 大さじ1杯
・すりごま 大さじ2杯
・砂糖(すりごま用) 大さじ1杯
・塩 少々   

【 作り方 】
(1)もち米とうるち米を合わせてとぎ、1時間程度水につけてから炊きます。
(2)お米が炊けたら、すりこぎで米粒が半分残る程度につぶします。

米を炊いた鍋をそのまま臼にして……
こんな感じになるまでつきました!

(3)一つを50g程度に丸め、俵型に整えます。

(4)きなこに砂糖、塩で味付けします。
(5)すりごまに砂糖、塩で味付けします。
(6)(3)に市販のあんこ、きなこ、すりごまをまぶしつけたら、完成です!

炊き上がった状態では、いつものお米。
本当におもちになるのかな? と少し不安になります。でもつぶつぶとしたお米は、ついていくうちにおもち状になっていきました!

くっつき防止のために、お湯で手を濡らしながら俵型に丸めていきます。自分で作ったおもちだから、不格好な見かけもなんだか愛しい……。手作りっていいですね。
 
「半ごろし」は完全にお米をつぶさないため、作るのが楽ですが、おもち特有のねばりが少ないことも特長かもしれません。歯にくっつかず口の中で噛み切りやすいため、お年寄りや小さなお子さんも普通のおもちより食べやすいのではないかと思いました。米粒の食感を残した口当たりはもちっとやわらかで、いうまでもなくあんこ・きなこ・すりごまとの相性は抜群!
やさしい甘さと風味にホッとしながら美味しく頂けました。
 
ちょっと甘いものが欲しいときや小腹が空いたときなどに、もち米の素朴なおいしさを堪能できる「半ごろし」はいかがでしょうか?
もちつきはイベント感があるので、お子様がいらっしゃるご家庭は一緒にクッキングするのも楽しいと思います。

この記事を書いてくれた人:井上リエ
プロフィール:東京都在住。図書館司書を経て、ライター活動中。食べること料理すること、玄米とワインを愛する食いしん坊。
趣味はヨガ、旅行、ハーブの栽培で、健康と美容への探求心も旺盛。


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