「タコライス」「トルコライス」…… 全国の“ご当地ライス”4選
日本の主食といえば、ごはん。
明治以降、洋食文化が全国に広く伝わり、洋食とごはんをミックスした“ご当地ライス“が数多く誕生しています。
今回はそのいくつかをご紹介したいと思います。
(1)沖縄県「タコライス」
ご当地ライスで最も知名度が高いと思われるのが「タコライス」。
その歴史は意外に浅く、1984年に沖縄県中部にある金武(きん)町で誕生しました。
「タコライス」の「タコ」は、メキシコ料理の定番「タコス」から。
ご飯の上にタコスで使うスパイシーなひき肉と玉ねぎ・レタス・トマト・チーズをのせ、サルサソースをかけたものです。
発祥は「パーラー千里」というお店で、当時変動相場制が導入され大幅な円高となったため、若いアメリカ兵をターゲットに安くてボリュームのある料理を提供しようとしたのがはじまりです。
その後、沖縄から日本全国へ広がり、今ではアメリカ本土でも提供されるまでになりました。
(2)石川県金沢市「ハントンライス」
金箔など絢爛豪華なイメージの強い金沢ですが、一転、ご当地ライスは庶民的。
金沢発祥「ハントンライス」の誕生は1960年代後半。
ケチャップで味付けしたバターライスに半熟の薄焼き卵をのせ、白身フライにケチャップとタルタルソースをかけたもので、店により具材はエビフライやトンカツ、マヨネーズソースなどさまざまバリエーションがあり、ボリュームタップリで食べごたえのある、元祖B級グルメというべき料理です。
「ハントン」の「ハン」はハンガリー、「トン」はフランス語でマグロを意味するそう。
しかし、ハンガリーでもマグロでもないという、実に不思議なご当地ライスです。
(3)北海道根室市「エスカロップ」
北海道の東端、根室市のご当地ライスといえば「エスカロップ」。
ケチャップライスかバターライスに、ポークカツをのせてドミグラスソースをかけた料理です。
誕生は1960年(昭和35年)頃、根室の洋食店「モンブラン」が発祥。
マッシュルーム入りケチャップライスを用いた赤エスカ、刻んだ筍を混ぜたバターライスを用いる白エスカと分類されますが、現在は白エスカが主流となっています。
「エスカロップ」の名は、フランス語の「エスカロープ」から。
薄切り肉に衣をつけてフライパンで炒め焼いた料理を意味するそうです。
(4)長崎県長崎市「トルコライス」
「トルコライス」は、トルコ料理ではありません。
ピラフ、ナポリタン、とんかつをワンプレートに盛り込んだ料理で、いわば“大人のお子様ランチ”です。
長崎では喫茶店などでよく出され、店ごとにピラフの味が違ったり、とんかつソースがカレーだったりと、さまざまな個性がある料理です。
誕生は昭和30年代前半と言われていますが、発祥の店も含め不明な点が多いよう。
語源もトルコ料理の「ピラウ」から、3色を示す「トリコロール」がなまった、世界の食が融合した料理で東西文化の融合地点であるトルコを表しているから等々、さまざまな由来が言われていますが、こちらも正確なことはわかりません。
ほかにも、オムライスにとんかつがのっかった福井県越前市の「ボルガライス」、ごはんに炒めた肉と生野菜をのせた佐賀市の「シシリアンライス」など、全国各地に“ご当地ライス“は存在します。
旅先の楽しみのひとつとして探してみてはいかがでしょうか。
この記事を書いてくれた人:江戸川渓谷(えどがわけいこく)
プロフィール:三度の飯とおにぎりが好き。趣味は道の駅めぐりに商店街散策、メタボ対策のトレッキング。うまいものは足で稼ぐのが信条。ゲットした惣菜で晩酌するのが最近の楽しみ。