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自分でもできる! 雑穀ブレンド

最近は白米ではなく、玄米や分搗き米でお米を食べる人が増えています。
以前と比べて健康志向の方が増えてきた証です。

ただ、玄米や分搗き米は栄養が豊富ですが、一方で「食べにくい」「香りが気になる」といった声もあり、白米を食べ慣れた人にとってはややハードルが高い食べ方ではあるようです。

そういった人には白米の風味を楽しみつつ、白米だけで不足している栄養素を摂取するとことができる「雑穀をブレンドする」とい食べ方がお勧めです。ただ、この食べ方は実は新しい食べ方ではありません。

そもそも日本人は昔から、誰もがいつでもお米を食べられるわけではありませんでした。
人口に比してお米の生産量が少ない時代が圧倒的に長く、ある程度所得のある人たちでなければ白米を食すことができなかったのです。
そのため昭和20年頃までは、雑穀を米に混ぜて食べることはごく一般的でした。

戦後お米の生産量が増え、誰でも白米を食べることが一般的になると、雑穀の消費量は減ってきます。
戦中~戦後を生きてきた人にとって雑穀とは「お米の代り」であり、「銀しゃり」を食べることができるのであれば、わざわざ「雑穀を食べる」という選択肢はなかったのです。
しかし白米で食べることが普通になると、今度は雑穀は「栄養価の高い健康的な食品」として脚光を浴びるようになってきたのです。

でんぷんやたんぱく質が主な栄養素である白米だけでは、その他栄養素が不足してしまいます。現代人はその不足している栄養素を「おかず」で補っていますが、雑穀でも補うことはできるのです。

雑穀は一般的に食物繊維やミネラル、ビタミン、ポリフェノール等が豊富です。毎日食べている白米にひと手間加えるだけで、手軽に色々な栄養素を摂取できるのです。

代表的な雑穀には
アワ キビ ヒエ ソバ ハト麦 大麦などがあります。これ以外にも大豆や黒米 赤米 アマランサスなど実に多くの雑穀があります。

こういった雑穀を揃えているお店が以前に比べれば増えていますので、リアル店舗やネット通販を利用するといいでしょう。

ただあまりに雑穀の種類が多いので、この中から何を選んでブレンドするのか……非常に悩ましいと思います。
その場合、例えば「何を摂取したいのか」、その目的を明確にしてブレンドすることです。

例えば

ビタミンを豊富に摂取したい場合
アワ、ソバ、アマランサス、大豆など。

食物繊維(不水溶性)を豊富に摂取したい場合
押し麦、大豆、とうもろこし、アマランサスなど。

ポリフェノールを豊富に摂取したい場合
アワ、キビ、ソバ、赤米、黒米など。

ミネラルを豊富に摂取したい場合
大豆、アマランサス、ソバ、ヒエ、アワなど。

……といった風に、です。

ただこんなふうにターゲットを明確にして単体の雑穀を選ぶのも良いのですが、まずは雑穀に慣れることを目的とするのであれば、既にブレンドされたものを購入すると良いでしょう。
そういった雑穀ブレンドのパッケージの裏側には必ずどういった雑穀が入っているのかが記載してあります。その中身を確認しながら色々なブレンドを購入すれば、次のステップに繋がりやすくなります。

最後に注意点を一つ。
毎日食べる白米から豊富な栄養を摂取するために「雑穀をブレンドする」という手法は非常に秀逸です。
ただ、実は消化が悪いという欠点もあります。
例えば黒米や赤米は玄米です。玄米の色素があのようなきれいな色を出すのですが、一方でこういった玄米や雑穀に慣れない人や体が合わない人は、お腹を壊すこともあります。
そういった人は無理せず白米に戻し、むしろおかずで栄養バランスを考えた方がいいかもしれません。
せっかくの食事ですから頑張らずに、楽しんで栄養を摂取してください。

この記事を書いてくれた人:小池理雄(小池精米店三代目)
1971年原宿生まれ。明治大学卒業後、会社勤務を経て2006年に小池精米店を継ぐ。五ツ星お米マイスター。テレビやラジオ、新聞、雑誌、ネット等のメディア出演多数。
共著「お米の世界へようこそ!」(経法ビジネス出版)