必読! ご飯は左、お味噌汁は右。正しい配膳とその理由
普段私たちが食べている和食に
「配膳位置のマナー」があるのをご存じでしょうか。
家で意識されている方は少ないかもしれませんが、外食で定食を注文したときなど、大抵位置が決まって出てくるのは気付いている方も多いのでは。
最近は家で撮った食卓の写真をSNSに載せる方もいらっしゃいますが、配膳が間違っていて指摘される場合もあるようです。食生活の欧米化が進んでいるとはいえ、日本人なら正しい配膳を知っておいて損はないですよね。
今回は、ご飯・おかず・お味噌汁の正しい置き場所や、その理由についてまとめました。
和食の基本「一汁三菜」の意味
和食の基本と言われる「一汁三菜」(いちじゅうさんさい)はこのような内容です。
主食:白飯、具入りのご飯など
汁物:お味噌汁、お吸い物など
主菜:揚げ物、蒸し物、焼き物
副菜:和え物など
副菜:煮物やサラダなど
一汁三菜は、ご飯・汁物・主菜・2つの副菜で成り立ちます。
手前の左にお茶碗、右に汁椀。
奥の左から、煮物などの副菜、
和え物などのもうひとつの副菜、
一番右側に主菜です。
この置き方は、幕末以降に統一され基本マナーとなったようです。
お漬物は、茶碗と汁椀の間が一般的です。ただし、お漬物は副菜としては数えられません。
お酒を出す場合は、お茶碗の位置にお酒を置きます。左利きの人に対して和食を配膳する場合は、お箸の向きだけが逆になります。
「日本人の習慣と歴史が由来」
では、なぜお茶碗が左なのでしょうか? いくつかの説があるようです。
まず日本人は、昔から右利きの文化があったため、右手にお箸、左手にお茶碗が自然だったということがあります。
また、飛鳥時代に中国から日本に伝えられた「左上位」の思想が影響しているという説があります。
皇帝から見ると、日は左である東から昇って右である西に沈むため、日の昇る東は西よりも尊くなり、左が右よりも上位と考えられました。
日本では古くはお米がお金代わりとして、納税に使われる特別なものでした。米を主食とする日本人ですから、このような背景から左側に置かれるようになったのでしょう。
ちなみに、お茶碗を右に置くのは、お仏壇に供えるときの置き方なので、縁起が悪いと感じる方もいるようです。
「配膳や順序にも表れる日本人の心」
日本の伝統「懐石料理」も、一汁三菜です。
懐石料理は、お茶を嗜むためにいただくお食事。
遠方から来てくださったお客様に、「お疲れでしょうから、お料理をお腹に入れてひと休みしてください」という意味を込めてお出しする料理です。
法事などでいただく「会席料理」は、お酒を嗜むための料理なのでご飯は最後ですが、懐石料理は最初にご飯が出てきます。お茶をいただく前なので、お椀にほんの二口、三口のおかゆのようなご飯が盛り付けてあり、汁椀にもご飯に見合う少量のお味噌汁が張ってあります。
「食べ方の作法」にも、すべて理由がある。
和食に限らずですが、食事は味の薄い物から順番に食べるのが良いとされています。
味の濃い物から食べ始めてしまうと、繊細な味付けが分かりにくいからです。はじめは汁物、次にご飯、主菜、副菜という順で食べ進めていけば間違いありませんね。
また、よくあるのがご飯の上におかずを乗せてしまう習慣です。これは本来マナーに反すると言われています。なぜなら、お茶碗を受け皿の代わりにしているためです。白いご飯が汚れてしまい、見た目も美しくありません。あらたまった場では、気を付けると良いですね。
お茶碗にはお米をひと粒も残さず食べるのが良いマナーと言われるのも、日本人にとってお米は欠かせないものという文化がうかがえます。
日本の食文化、若い世代へも伝えていきたいですね。
この記事を書いてくれた人:さとう きょうこ
専業主婦から毎日新聞社のライターを経て住宅会社に就職。広報、人事部を立ち上げ、『家を売るライター』として有名建築家や経営者、顧客を取材。雑誌書籍の編集や採用人事も担当。16年の勤務を経て2020年に独立。