千石豆って何のこと? 岐阜県郷土料理「千石豆のかきまわし」
突然ですがクイズです。
岐阜県で一番多く作られている農畜産物は何でしょうか?
トマトなどの野菜?
それとも飛騨牛の牛肉や乳製品?
実は……
お米の生産量が一番なんです!
今回は、お米に「あるもの」を混ぜた郷土料理をご紹介します。
「かきまわし」って炊き込みごはん? それとも混ぜごはん?
北側には飛騨の美しい山々が連なり、南側には木曽三川によって作られた濃尾平野が広がる岐阜県。清らかな山と豊かな水の恵みによって、美味しいお米が作られています。
そのお米に千石豆などの具材を混ぜ合わせたのが「千石豆のかきまわし」です。
千石豆とは、飛騨・美濃の伝統野菜に認定されているフジマメのことです。地域によって様々な呼び名があり、岐阜県や三重県では「千石豆」、石川県では「つる豆」や「だらまめ」などといっているようです。
独特の青々しい香りと豊かな風味が特徴的な千石豆は、以前は多くの農家で栽培されていましたが、近年は生産者が減り希少な野菜となっています。
「千石豆のかきまわし」は混ぜごはんなので、具材とお米を一緒に炊く炊き込みごはんとは異なります。でも岐阜県では、お米に具材を混ぜて炊く炊き込みごはんのことを「混ぜごはん」と呼んでいるので、区別できるように炊き上げたごはんに具材を混ぜ合わせたものを「かきまわし」と名付けたのだとか。
何だか頭がこんがらがってきそうですが、「千石豆のかきまわし」は、混ぜごはんということが分かりました。
炊飯と煮物を同時調理! 「千石豆のかきまわし風」
千石豆の旬は5月~9月のようですが、8月の東京のスーパーでは見当たらなかったので、代わりにさやえんどうを使って作ってみました。
鍋で炊飯をしている隣りで、混ぜごはんの具材を煮ていきます。
「千石豆のかきまわし」の作り方
【 材料 】2~3人分
・白米 1.5合
・さやえんどう 50g
・さといも 200g
・油あげ 1枚
・ちくわ 1本
調味料
・だし汁 1カップ
・醤油 大さじ1.5杯
・酒 大さじ1杯
・みりん 大さじ1杯
・砂糖 大さじ1/2杯
【 作り方 】
(1)白米を研いで浸水し、炊いておきます。
(2)さやえんどうの筋を取って、お湯で1分程度茹でます。
(3)さといもの皮をむき、塩をふってぬめりを出したあとに水で洗います。
(4)油揚げに熱湯をかけて油抜きをし、千切りにします。
(5)ちくわを縦半分に切ってから、細切りにします。
(6)鍋にさといもと調味料を入れて火にかけ、つまようじが通るくらいまで煮ます。
(7)(6)の鍋にさやえんどう、油揚げとちくわを加えて、少しだけ煮詰めます。
(8)炊きあがったごはんに(7)を混ぜて、完成です!
ほぼ同時に炊飯と具材の煮込みが終わりました。
具材をごはんに混ぜてみると、ごはんが茶色いところと白いところが分かれてまだらになってしまいました。煮汁を煮詰めすぎたのか……。
口に運ぶと、大丈夫、おいしい! かむとふわっと豆独特の香りと味が活きて、やさしさのある味わいが広がります。ねっとりとした食感のさといも、甘辛味がしみた油揚げとちくわ、そして炊き立てごはんの甘さ。それぞれが微妙に異なる食感や味を保っていて、奥深いおいしさに仕上げています。
もっと食べたい!
あまった「千石豆のかきまわし」は、おにぎりにして冷蔵庫に入れておくのがおすすめです。家族の「お腹すいた~! 何かない?」のリクエストに即座に応えることができました。
この記事を書いてくれた人:井上リエ
プロフィール:東京都在住。図書館司書を経て、ライター活動中。食べること料理すること、玄米とワインを愛する食いしん坊。
趣味はヨガ、旅行、ハーブの栽培で、健康と美容への探求心も旺盛。