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もう緊急用のアイテムじゃない! お米の種類も豊富、便利で美味しい「パックご飯」。

日本人は昔からお米を食べてきましたが、食べ方は時代とともに変化しています。平成30年間で大きく変わったことは、「コメを買う時代からご飯を買う時代」になったことでしょう。象徴するのが、パックご飯の普及です。

いわゆる、電子レンジで「チンする」ご飯で、働く女性や、一人暮らし・夫婦2人だけの家庭が増えたこと、高齢化で食べる量が減ったことなど原因は数々あり、簡単・便利で、しかも美味しくて満足できる商品が増えたことも欠かせません。

パックご飯の市場規模は昨年まで9年連続で伸張を続け、今年は新型コロナ感染拡大による外出自粛で一層伸びていることもあり、10年連続は間違いない状況となっています。

最近の数字を見ると、2018年度は前年より7%前後増の691億円と700億円に迫りました(日本食糧新聞社推計)。

生産量も5.7%増の17万218tと過去最高(食品需給研究センター調べ)で、需要に対して供給が追いつかない状況になりました。

そこで昨年は、メーカーの多くが生産設備を増やし、供給体制を強化したことから、10年以内に1000億円、15年後には18年度の2倍以上に上る1500億円規模となる可能性も高いというのが業界の大筋の見方です。

市場が拡大するにつれ、いろいろな商品が登場しています。
新潟コシヒカリ」や「山形つやひめ」「北海道ゆめぴりか」などの有名ブランド商品に加え、300gの大型サイズから、170、150g、二連パックの100g入りなど小容量サイズまで容量もさまざまです。

さらに、もち麦雑穀入り、玄米商品など身体に良い商品も売場で目立つようになりました。

パックご飯の種類

パックご飯には、無菌米飯レトルト米飯があることをご存じでしょうか。違いは作り方にあり、難しい言葉で言うと、無菌米飯はおコメを殺菌して炊き、無菌で包装します。
レトルト米飯は、機密性のある容器で炊飯した後、加圧・加熱殺菌します。

どちらも常温で長期保存(無菌米飯が約6カ月、レトルト約1年)が可能なうえ、安心・安全、美味しさ、電子レンジで温めるだけの簡便性など、便利な点は共通しています。

それではどう使い分けたらよいのかというと、

無菌米飯
白ご飯向き。ふっくらとした食感や炊きたてのような美味しさが楽しめます。

レトルトご飯
雑穀や麦入り、玄米ご飯、炊き込みご飯、おこわなどに適しています。

レトルト

after・withコロナの心強い味方

さて、コロナウイルス感染拡大で私たちは在宅を余儀なくされています。そこで長期保存できるものや、電子レンジで温めるだけの食品を多く買い求め、その中にパックご飯も含まれています。

どのくらい売れたかと言うと、スーパーで販売する商品の売上げの指標となる「POSデータ(KSP―SP)によると、2020年3月は昨年との比較で28%、4月も25%伸びました。ゴールデンウイーク明けから少し落ち着いてきましたが、5月も5%伸びました。週ごとのデータで最も盛り上がったのが、小池百合子東京都知事が、週末の外出自粛を要請した3月23~29日の週と、政府が全国の学校の休校要請を出した2月24~3月1日の週で、どちらも昨年との比較で50%、前の週と比べると36%も伸びるなど驚異的な数字となり、多くの人がパックご飯を家庭に常備したことがわかります。

今後もコロナウイルスとの付き合いが長くなるほか、大雨や台風、地震と自然災害の発生が予想されるだけに、パックご飯は私たちの食生活に、ますます欠かせない存在となることは間違いないでしょう。

この記事を書いてくれた人:ちとせあめ
食品専門紙記者。子育てをしながらフリーランスで、マーケティングリサーチの調査員や行政の消費生活相談員、ライターの経歴も持つ。趣味はお菓子作りで、米粉を使ったグルテンフリースイーツに夢中。