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身近な「パックごはん」の秘密

今や日本の家庭のみならず、
世界に向けて輸出されているパックごはん

スーパーやコンビニ・ドラッグストアなど、日常生活においてどこでも目にします。
日常使いはもちろん、アウトドアや非常時のストックとしても重宝しますが、実際にどんな製法で作られているかまではあまり知られていません。

今回は、パックごはんのあれこれをご紹介したいと思います。

そもそも「パックごはん」とは?

パックごはんの正式名称は「包装米飯(ほうそうべいはん)」と言い、製造工程でごはんを殺菌処理し、密閉できる容器にパックして長期保存ができるように加工したものです。

パックごはんには以下のような種類があります。

包装後に加熱殺菌するもの
炊いてから無菌包装するもの
密閉調理して無菌包装するもの

それぞれ、メーカーによって製造方法に少し違いがあります。
いずれも炊飯したごはんを腐らないよう無菌状態化(殺菌)し、長期保存できるようにパック詰めしたものという点は同じです。

家庭で炊飯したごはんは当日中、冷凍は1ヶ月以内に食べた方がよいとされていますが、パックごはんの賞味期限は半年から1年程度に設定されています。

「パックごはん」の製造方法

パックごはんの製造方法には主に2種類あります。
お米を気密性のある容器に入れ炊飯した後、加圧加熱殺菌(レトルト殺菌)した米飯を「レトルト米飯」、炊飯前のお米を殺菌して炊飯した後、無菌包装した米飯を「無菌包装米飯」と言います。

「レトルト米飯」の歴史は古く、登場したのは50年前の1973年。
最初に発売されたのは、赤飯だったそうです。
その後、白ごはん・混ぜごはん・お粥なども商品化されました。
蒸気によって予備加熱を行う、「パッケージ後に加圧・加熱(レトルト殺菌)する」製法で、一般的な炊飯より加熱工程が多いのが特徴です。
赤飯をはじめとしたもち米を含むごはん、水分を多く含むお粥などに適した製法です。
一方、加水と加熱工程が多いため、白ごはんにはあまり向いていないとされています。

ただ、缶詰と同じように密閉してレトルト殺菌をしているため、長期保存と常温保存が可能で非常食に向いています。

一方の「無菌包装米飯」1987年ごろに誕生しました。
その製法は、炊飯前のお米を殺菌し、炊飯調理した後に無菌包装します。
包装後に加圧・加熱処理をしないので、より炊きたてのごはんに近い風味や食感が保てるのが特徴。
しかし、レトルト米飯に比べて賞味期限が短く、備蓄用にする場合は注意が必要です。

「パックごはん」の食べかた

市販されているパックごはんには、「電子レンジ(もしくは熱湯)であたためてお召し上がりください」と書かれています。

ここで素朴な疑問が。

一般的な缶詰はそのまま常温でも食べることができます。
パックごはんも加熱調理済みなのに、なぜ再度温めなければならないのでしょう。

その理由は、お米のデンプンにあります。

お米に含まれるデンプンは、炊飯前は硬く味もまずいため、消化できません。人体に害はありませんが、栄養にならず、胃腸にも負担がかかってしまいます。

お米は加熱調理(炊飯)することでデンプンが糊化(アルファ化)し、消化できる美味しい状態になります。
しかしアルファ化したデンプンは、冷めるとまた生米状態(ベータデンプン)に戻ってしまいます。
このため、常温のパックごはんをそのまま食べても害はないものの、加熱しないで食べると消化に悪く、おいしくありません。

そのため「電子レンジ(もしくは熱湯)であたためてお召し上がりください」と書かれているのです。

ちなみに災害時などは、パックから出してフライパンで加熱する方法もOKです。

令和3年度のパックごはん製造量は年間23.4万トン、個数にして12億個以上、一人あたり年間10個も食べている計算になります。
コメ離れが言われていますが、パックごはんの需要は年々伸び続け、特にここ数年はコロナの巣ごもり需要もあって更に伸びているようです。

パックごはんの製法や食べかたにも注目しながら、商品選びを楽しんでみてください。

この記事を書いてくれた人:江戸川渓谷(えどがわけいこく)
プロフィール:三度の飯とおにぎりが好き。趣味は道の駅めぐりに商店街散策、メタボ対策のトレッキング。うまいものは足で稼ぐのが信条。ゲットした惣菜で晩酌するのが最近の楽しみ。


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