【 薬膳ごはん解説&レシピ 】冬に食べたいエイジングケアメニュー「黒豆ごはん」
日本人は古来よりお米を主食としてきました。薬膳の考え方でも、お米を中心とした穀類は「気」を補うものとして、要(かなめ)となっています。
今回は漢方・薬膳の観点から、季節ごとに起こりがちなトラブルやその対応をふまえて、おすすめの食材を取り入れた「薬膳ごはん」をご紹介したいと思います。
手に入りやすい材料で気軽に作れるレシピを中心としていますので、ぜひ日々の食卓に取り入れていただけたらと思います。
アンチエイジングの要は冬にあり
漢方は中国の古代哲学「五行説」を人の身体にあてはめた考えです。
五行において冬は「腎」の季節にあたります。この「腎」は、水分代謝や、人間の生命力―発育や精力、生殖など―をつかさどる機能で、エイジングとも深い関わりがあります。
耳が遠くなる・耳鳴りがする・足腰が弱くなる・トイレが近くなる・白髪や薄毛などのいわゆる「老化現象」。
実は、これらのこと、全て漢方では「腎」が関わっていることなのです。年齢を重ねるにつれて生命力をつかさどる腎の「気」が弱まり、耳・下半身・髪の機能が低下していくためにこのような現象が起こります。そして「腎」と関わりの深い冬に、一気にエイジングが進んでしまう恐れががありますので、この時期の「腎」のケアは大変重要です。
日ごろから腎を補う食材を取り入れてお食事なさることが、よりいきいきと毎日を過ごされるためにも大切になります。
五行図の色を見ていただくと、腎の箇所の色は黒であることがわかります。
漢方の考え方に「五味五色」というものがあり、食べ物の色と効能には深い関わりがあるとされています。すなわち、腎のケアには黒いものを食べると良いということになります。
例えば、黒豆・黒ごま・黒きくらげ・黒米など。
それから「五味」つまり味覚の観点では、腎には「鹹味(かんみ)」という、しおからい味が良いとされていますが、これは塩を沢山使うということではなく、海産物の塩気のような、自然に感じる塩味ということになります。具体的には、海老・蟹・シジミをはじめとする貝類・昆布をはじめとする海藻類などです。
その他に腎を補う食材として、山芋・きのこ類などがおすすめです。
おすすめレシピ「黒豆ご飯」
お正月に黒豆を煮たものの、乾物の状態で残っている黒豆を持て余している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、浸水不要で、炊飯器や土鍋でそのまま炊ける黒豆ご飯をご紹介します。
【 材料 】黒豆ごはん(2人分)
米 1合
黒豆(乾物) 大さじ1
塩 ひとつまみ
【 作り方 】
(1)黒豆はふきんなどで表面の汚れをとり、フライパンで5分ほど皮がはじけるまで乾煎りします。
(2)米を洗い、通常の水加減に(1)と水大さじ1・塩を加え、30分ほど浸水してから炊飯器や土鍋で炊きます。
この記事を書いてくれた人:古橋 智子(漢方・薬膳・保存食講師)
プロフィール:漢方上級スタイリスト、養生薬膳アドバイザー、中国茶アドバイザー、かんぶつマエストロ。薬日本堂漢方スクール、長谷園 東京店 igamonoなどで講座を担当。20代より保存食作りに親しみ、数々のレシピを考案。素材の旬だけでなく、一人ひとりの体質や体調に合った保存食を提案したいという思いから漢方、薬膳を学ぶ。
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