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[郷土料理シリーズ]ハッピーオーラ全開! 青森県いなり寿司

郷土料理とは、地域の特産物や調味料を使って作られる食べ物のこと。
普段の生活の中で日常的に食べられたり、お祝いやお祭りの席でも振舞われたりしています。

今回お届けするのは、青森県の津軽地方に伝わる「いなりずし」。
なんでもすし飯がピンク色で、独特の味わいが楽しめるのだとか……?

「いなりずし」が、赤くて甘い!?

「いなりずし」は、甘辛く煮た油揚げの中にすし飯を詰めたおすしのこと。「お稲荷さん」「お稲荷」「いなり」などとも呼ばれています。

名前の由来は分かっておらず、稲荷神社の神のお使いのキツネの好物が油揚げだからとか、稲荷神社にお供えしてあった油揚げの中にごはんを詰めてすしにしたのがはじまりだとか、諸説あるようです。

津軽地方の「いなりずし」は一般的に抱くイメージとは異なり、ピンク色のすし飯が特徴です。
刻んだ紅ショウガを混ぜ込んだり食紅を加えたりして、華やかな彩りが目を引きます。そして一口食べみると独特な味わいにも驚くはず。そう、青森県のいなりずしは甘いのです。

雪深い津軽で生まれた、ハレの日のごちそう

雪国の中でも比較的穏やかな気候の津軽平野では、古くから稲作が行われ米文化が発展してきました。

その昔、砂糖が貴重で高価だった頃は、ハレの席や人が集まったりするときに、お客さまに喜んでもらおうと砂糖をふんだんに使って食べ物を甘めに調味していたといいます。
赤い色は縁起の良さを示し、甘い味はおもてなしの心を表しているのですね。東北地方では、いなりずしの他に赤飯や茶わん蒸しなどにも砂糖を多く使って甘めに味をつけています。
食欲を増進させる濃い味つけや砂糖を多く使った甘い味つけの食べ物で、冬の寒さを乗り切っていたのかもしれません。

見た目に美しく冷めてもおいしい「いなりずし」

郷土料理というと、地元の人しか作れないちょっと敷居が高い料理と感じませんか?
しかし身近で手に入る材料で簡単に作れるものも多いのですよね。
今回ご紹介する「いなりずし」もその一つ。材料はたったこれだけです。

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【 材料 】約2人分
・もち米          2カップ
・紅しょうが     50g
・いなり揚げ(市販) 10枚

☆すし酢用調味料
・酢  大さじ2
・砂糖   40g 

【作り方】

(1)もち米は研いで、水に浸けておく。

(2)すし酢用調味料の酢と砂糖を混ぜてとかしておく。

(3)紅しょうがをみじん切りにする。

(4)浸水させたもち米をやわらかめに炊く。
炊きあがったらお米がアツアツのうちにすし酢用調味料と紅しょうがを入れてかき混ぜ、すし飯を作る。

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(5)(4)のすし飯を10等分にして、いなり揚げに詰めて形を整えたら出来上がり!

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\ 作り方のポイント /
すし飯を2回に分けて詰めるのがポイントです。
まずはいなり揚げの中に、7分目まですし飯をぎゅっと固めに詰めます。
その後ふんわりとのせるように入れると、型崩れせず口当たりも優しく仕上がります。

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甘くもっちりとしたすし飯とピリッとさわやかなさっぱりとした紅しょうがの風合いが楽しめる一品。

いなり揚げとすし飯の両方が甘くても食べたときの味のバランスが取れているのは、ピリッとした紅しょうがの辛さがまろやかなうま味を引き出しているから。後を引くおいしさで、つい手が伸びます。
またピンク色のビジュアルが美しく、食卓が華やぎます。

冷めてもおいしいいなりずしはお弁当にぴったり! 甘辛の味つけなので、合わせるおかずを選びません。こってり味もさっぱり味も優しく受け止めてくれますよ。

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この「いなりずし」は調理がシンプルなだけに、材料のクオリティーが味を左右するのかも……? 
食材の良し悪しがストレートに出るため、青森県産のお米や東北地方の油揚げなど意識して選ぶとより郷土感を味わえるかもしれません。食材探しから「いなりずし」の醍醐味を感じてみてはいかがでしょうか。

甘じょっぱいピンク色の「いなりずし」は、彩りや味わい、食感も面白く五感で楽しめる郷土料理です。
重箱や曲げわっぱなどのお弁当箱に詰めてお花見や行楽のお供にすれば、気分も盛り上がってさらに美味しく感じられそう! 材料も少なく意外と簡単に作れるので、ぜひご家庭の献立に加えてみませんか。

この記事を書いてくれた人:井上リエ
プロフィール:東京都在住。図書館司書を経て、ライター活動中。食べること料理すること、玄米とワインを愛する食いしん坊。
趣味はヨガ、旅行、ハーブの栽培で、健康と美容への探求心も旺盛。


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