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赤飯なのに甘い! 醤油味!? 地方の歴史が育んだ意外な赤飯とは

赤飯の赤色は、どこから?

昔から祝い飯として愛され、現代ではスーパーやコンビニエンスストアでも手に入るほど身近な食事となった赤飯。

赤飯とは一般的に、もち米に小豆や大角豆(ささげ)を混ぜて蒸したおこわのことを言います。

縄文時代頃に中国から伝わった古代米は黒い色で、炊くと赤い色のご飯になったという説があります。その頃のお米は貴重だったので、この古代米は神さまへの供え物用や儀礼用として使われていました。

その後神さまからのお下がりとして人々も赤いご飯を食べていたようです。
やがて白米が古代米に取って代わり、儀礼食用として白米を赤く染めた赤飯へと繋がったと言われています。

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また赤い色は魔除けになると信じられていたため、昔は凶事の際にも赤飯を食べていたようです。いつから吉事の時だけになったかは明らかになっていませんが「凶を返して吉にする」という縁起直しの意味があったと考えられています。

わが家の赤飯は、どんな味?

お食い初めに始まり、入学や成人など人生の記念すべき日に多くの人が口にする赤飯ですが、実は地域によって味付けや具材が異なることをご存知でしょうか。

例えば北海道の赤飯は小豆ではなく甘納豆を使っているため、甘いものが主流。もち米と米を半々くらいの割合にして、ピンク色の食紅を混ぜて炊き上げます。その後に甘納豆を入れ、一緒に蒸して出来上がりです。
この鮮やかで甘い赤飯は「忙しくても子ども達に美味しいものを食べさせてあげたい」と言う母の思いから、従来の赤飯のレシピを簡素化させたもの。これが北海道全域に広まり、さらには青森県や秋田県などにも伝わり東北地方でも甘い赤飯が作られているようです。

また新潟県の一部で赤飯と言えば、茶色のしょうゆおこわのことを指します。そのルーツは、大角豆が採れないためもち米に赤色を付けられなかったことにさかのぼります。代わりに身近にあるしょうゆで色付けした、近辺に醸造の町がありしょうゆ造りが盛んだったなど諸説あるようです。こちらはお祝い事はもちろん、常時食べる文化が根付いています。
しょうゆおこわは、しょうゆ・砂糖・酒・みりんで調味しているので、奥深いうまみが特長。この赤飯に漬物と汁物があれば十分なご馳走と言えるでしょう。

さらに県の特産物をおこわと一緒に炊き上げたバラエティ豊かな赤飯もあります。
千葉県では、生落花生を甘煮にして小豆と一緒におこわに蒸し上げます。落花生の美味しい冬から春に食したい一品です。

福井県では、名産のさといもを煮てもち米と一緒に蒸したさといもの赤飯が作られています。ねっとりしたさといもに、もちもちしたもち米が相まった独自の食感が魅力。

関東地方では江戸時代の文化の名残が見られ、小豆ではなく大角豆が使われています。これは小豆を炊くと真っ二つに割れてしまい、切腹が連想されるから。そのため皮が厚く割れることが少ない大角豆が選ばれているのです。

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古来から現代まで繋がる豊かな赤飯文化

所変われば品変わる、赤飯文化。
昔は季節の節目に行う祭礼や年中行事の日を「ハレの日」と呼び、普段通りの日常を「ケの日」と呼んできました。「ハレの日」は仕事を休んで神を祀り、「ケの日」は仕事に励むことで暮らしに節目をつけ、人生に区切りをつけていたと言います。

現代では「ハレ」と「ケ」の区別がなくなったと言われていますが、赤飯もそのボーダーがなくなって、地域の特色と家庭独自の特徴を融合しながら昇華していくのかもしれません。
赤飯の形が様々に変わっても、そこにはいつも自然や祖先への感謝の念や子どもを思いやる親心が息づいています。今日は、長い歴史に想いを馳せながら各地の流儀にならって赤飯を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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赤飯で祝う主な行事

・帯祝い
・出産祝い
・お食い初め
・誕生祝い
・初節句
・七五三
・入学・卒業祝い
・就職祝い
・成人祝い
・上棟式賀の祝い
・還暦(60歳)祝い
・古稀(70歳)祝い
・喜寿(77歳)祝い
・米寿(88歳)祝い
・白寿(99歳)祝い
など


この記事を書いてくれた人:井上リエ
プロフィール:東京都在住。図書館司書を経て、ライター活動中。食べること料理すること、玄米とワインを愛する食いしん坊。
趣味はヨガ、旅行、ハーブの栽培で、健康と美容への探求心も旺盛。

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