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お祝いは黄色いご飯で。大分県郷土料理「黄飯と黄飯かやく」

”おうはん”、”かやく”に”えそ”……?
何だか耳慣れない言葉が並んでいるのが、今回ご紹介する大分県の郷土料理。文化庁が認定している「全国各地の100年フード」にも選ばれています。

はたして、そのお味は?

味や見た目を引き立てる 彩り豊かな黄色いご飯

黄飯(おうはん)のはじまりは、戦国時代に遡るようです。
大分県臼杵藩では、質素倹約を行っていたため、お祝いのお赤飯の代わりに黄飯を作ったとされています。当時は貴重な食材だった小豆の代わりに、くちなしの実を砕いた汁でお米に着色したのです。
 
黄飯は「かやく」と呼ばれるおかずとセットにして頂きます。
えそという白身魚、豆腐や野菜などを煮込んだもので、このかやくを黄飯にかけて食べるのが元祖のスタイル。
魚や豆腐からはたんぱく質、根菜たっぷりの野菜からは食物繊維やビタミン類が採れ、もちろん黄飯と一緒に食べるから炭水化物までコンプリート!

黄飯と黄飯かやくは、主食+主菜+副菜が一度に採れる、栄養もお腹も大満足の料理といえますね。

なかなか骨のあるやつ”狗母魚”ってなんだ!?

”狗母魚”と書いて、”えそ”と読むようです。もし”えそ”という白身魚をご存じだったら、かなりのお魚通かもしれません。
なぜかというと、えそは一般的なスーパーに並ぶことはそうないからです。ぎょろりと大きな目と口、そして鋭い歯を持ち、性格は獰猛。ちょっと怖そうな見た目に反して、その身は美味しく高級かまぼこの原料としても有名なんだそうです。
 
美味しい魚なのに鮮魚としてあまり流通していないのは、小骨が多く食べるのが大変だから。これを克服したのがすり身としての活用でした。そのまま食べるのは骨がおれるけれど、うま味・甘みが強いため、すり身にして煮ものや鍋ものの具材にすると、本領を発揮するのだとか。

うま味が凝縮! えそじゃなくても「黄飯と黄飯かやく」は美味しかった

やはり魚屋さんにはえそはありませんでしたので、真鯛の刺身で代用することにします。くちなしを買うのも初めて!
どんなものができるのか、ウキウキしながらクッキングスタートです。

「黄飯と黄飯かやく」の作り方
【 材料 】2人分

 
(黄飯)
・白米 2合
・水 2カップ 
・くちなしの実 1個
 
(黄飯かやく)
・真鯛の刺身 200g
・豆腐 1/4丁   
・ごぼう 小1/2本
・大根 15㎝くらい
・人参 1/2本 
・しいたけ 1個
・長ねぎ 1/2本
・万能ねぎ(お好みで) 少々
・水 2カップ
・しょうゆ 大さじ1杯
・みりん 大さじ1/2杯
・酒 大さじ2杯

【 作り方 】
黄飯
(1)くちなしの実を砕き、水につけて色を出します
(2)白米を研ぎ、分量の水と、こしたくちなしの汁を入れてから炊きます

かやく
(1)真鯛をフードプロセッサーですり身にします
(2)ごぼうをささがきにして水にさらします
(3)人参と大根は、拍子切りにします
(4)しいたけは細かく切ります
(5)長ねぎは斜め切りにします
(6)豆腐は熱湯で茹でて水切りします

(7)お鍋に油を熱し、真鯛のすり身と豆腐を入れて炒めます
(8)次に野菜類(長ねぎ以外)を加えて炒めます
(9)水としょうゆ、みりん、酒を加えて、20分程度煮込みます

(10)火を止める前に長ねぎを加えて、完成です!

黄色く炊き上がったご飯は、味付けは特にしていないのですが見るからに美味しそう。そして真鯛のすり身は、新鮮なお刺身を焼くことで香ばしさが増し、魚本来の風味や香りがアップしたような気がします。野菜から出たエキスもさることながら、真鯛からのうま味が加わって、より深みのある美味しいかやくができあがりました。ホロホロになったすり身から、白身魚ゆえの淡泊ながらほのぼのとした味わいが口の中に広がります。
 
いつものご飯が黄飯に代わっただけですが、かやくを並んで置くと、なんだかワクワクと気持ちが浮きたってきます。素朴な味わいと華やかな色で普段の食卓を彩ってくれました。

この記事を書いてくれた人:井上リエ
プロフィール:東京都在住。図書館司書を経て、ライター活動中。食べること料理すること、玄米とワインを愛する食いしん坊。
趣味はヨガ、旅行、ハーブの栽培で、健康と美容への探求心も旺盛。

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