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[どうしてそうなった!?]星空舞

[どうしてそうなった!?]は、変わったお米のネーミングの由来についてご紹介していくシリーズです。

今回のお米は
鳥取県の「星空舞」です。

鳥取県……都内の人にとっては馴染みの薄い県の一つでしょう。
それは、西日本にお住いの方が、関東地方の各県の位置が曖昧なのと同じで、都内在住の多くの方が鳥取県の正確な位置までは把握していません。普段からそのような位置づけである鳥取県のお米……と言われても、都内の人はいまいちピンとこないかもしれませんが……。

そんな鳥取県からデビューしたオリジナル品種。
その名も「星空舞」という珍しい名前のお米があります。

もちろん「舞」は「米」にかけているのですが、では「星空」とはいったいなんでしょうか?

日本でいちばん星空が見える県、鳥取県

鳥取県は近年、自県PRのため様々な施策を行っていますが、その一つが「星取県」という名称です。
全国星空継続観察(環境省)で何度も日本一に輝いた鳥取県は、どの市町村からも天の川が見える地域なのです。その鳥取県の夜空から命名されたのが星のように輝くお米「星空舞」なのです。鳥取県農業試験場が開発し、2018年にデビューしました。

全国でも有数の「美味しいお米」の産地、鳥取県

鳥取県は、実は美味しいお米がとれる地域として有名です。
日本で最も有名なお米の格付け「食味ランキング」(日本穀物検定実施)では、「コシヒカリ」「きぬむすめ」が最高位の「特A」を複数回獲得しています。
鳥取県内で最も生産量が多いのが「コシヒカリ」。
改めて言うまでもありませんが「コシヒカリ」は全国的にも有名なブランド米です。そのため他の品種よりは高値で売れるので生産者の栽培意欲が高いのですが、近年は夏の酷暑のためその品質が著しく落ちています。

お米は生産者が収穫し、玄米まで仕立ててから出荷しますが、その際、「農産物検査」を受けます。これはお米の品質を格付けで示したもので、一等級・二等級・三等級・規格外の4段階に分かれています。
この格付けはそのまま販売価格に跳ね返ってくるため生産者は一等を目指して栽培していますが、近年は栽培環境があまりに酷なため、一等比率が著しく悪くなっています。
最近は4割を切ることが珍しくなくなってきました。4割を切るというのは東北地方や北陸地方、北海道地方ではあまり見られない現象です。

そういった情勢を転換するために、鳥取県は「コシヒカリ」に代わるブランド米……それも高く売れるブランド米の開発に取り組みました。「星空舞」の誕生にはそういった背景があります。

「星空舞」は、高温の気象条件下でも品質が低下しにくい性質を持っています。また「コシヒカリ」と比べて背丈が低く、倒れにくいという特徴も持っています。
ただ……2018年のデビュー以降、「星空舞」の生産量は増えてきましたが、「コシヒカリ」を逆転するまでには至っていません。それはまだ栽培方法が確立されておらず、農業試験場を中心に毎年試行錯誤を繰り返している段階…ということがあります。そして「本当にコシヒカリと並び称されるだけの実力があるのか」という生産者の思いも多少ならずとも影響を受けているでしょう。

「一番星」を目指して。ブランド米として育ちつつある「星空舞」

ところがつい最近、「星空舞」の評判を一気に押し上げる出来事がありました。令和4年産の「星空舞」が前述した「食味ランキング」で念願の「特A」を獲得したのです。
たまたまですが、そのランキングの発表があった翌日、筆者は鳥取県で講演をしてきました。題して「新品種乱立のなかで求められるお米のニーズについて~星空舞のブランド確立に向けて~」です。あまりにタイムリーであったため、思わず第一声は「今日は何を言っても生産者さんには怒られませんね」と話してしまったほどです。

「特A」の獲得は間違いなく有名ブランド米の仲間入りを果たした証左になります。ただそれでもまだまだ全国的な知名度はありませんし、更なる食味向上を目指す必要があります。
「星空舞」はその粒の大きさ、粒の弾力感、そしてササニシキ由来のしっとりとした優しい旨みにおいて、全国的なブランド米と比肩するだけのポテンシャルがあります。

星の数ほどあるブランド米の「一番星」になれるのか。
今後も目が離せないお米です。

この記事を書いてくれた人:小池理雄(小池精米店三代目)
1971年原宿生まれ。明治大学卒業後、会社勤務を経て2006年に小池精米店を継ぐ。五ツ星お米マイスター。テレビやラジオ、新聞、雑誌、ネット等のメディア出演多数。
共著「お米の世界へようこそ!」(経法ビジネス出版)

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