日本の米は、まだまだ可能性がある!
突然ですが……。
私、小池精米店・三代目、五ツ星お米マイスターの小池理雄が、7月17日に本を出版しました。
今回は、その本を少しご紹介いたします。
お米を食す方・作る方・販売する方、お米に携わるたくさんの方に読んでいただきたい一冊です。
タイトルは『なぜ、その米は売れるのか? 進化する原宿の米屋のマーケティング術』(家の光協会)です。
お米についての本は数あれど、その中身は品種の話であったり、炊飯の話であったり、おにぎりの話であったり、どちらかと言えば「お米が売れていることが前提」の書籍ばかり。
しかし、私が今回上梓したのは
「お米は売れていない。ではどのように売ればいいのか?」
について展開した内容になっています。
改めて皆さんにお伝えします。お米はいまや不人気商品です。
消費量は下がる一方で、いまや日本人一人当たりの年間消費量は、ピーク時(前々回の東京オリンピックのころ)の半分以下。生産量はいまや大正時代……米騒動があった1918年よりも少なくなっています。
お米そのものは食べ物ですから、美味しく食べることは消費者の皆さんにとっては一番の関心ごとだと思います。ただサラリーマンを経て、いわば「部外者」としてこの業界に入った自分からすると、産業としての米業界は商売としては危機的状況にある斜陽産業なのです。
そのような逆境の中でも、小池精米店は売り上げを伸ばし続けています。
弊社がなぜその逆境下でも売り上げを伸ばし続けているのか。
その秘密は
「お米に真剣に向き合うこと」そして
「消費者に寄り添うこと」の二つにあります。
弊社はキャットストリートの一角にある原宿・表参道唯一の米屋です。
私で3代目に当たりますが、私自身は大学卒業後、書籍編集者やコンサルタントの職を経て、家業の米屋を継ぎました。
それからというもの、米の消費量が落ち込むなか、売り上げを3倍にまで伸ばしました。
ここで本書の内容について、簡単に触れましょう。
「序章 米は農産物か、商品か」
何はともあれ、まずはお米を「農産物」ではなく、きちんと販売して利益を得られる「商材」として捉えること。そうすれば何をすればいいのか、自ずと分かります。
「1章 消費者のお米認識をどう変えるか」
お米はあまりに身近過ぎて、かえって消費者の関心が薄い商材です。普通の消費者は、お米について実は何にも知らない……。という立ち位置から、物事を考えます。
「2章 『商品』としての米とは
お米は味も見た目も単純なため、その魅力はきちんと説明しないとご理解いただけません。消費者に説明するために、まずはお米にはどのような魅力があるのか、を考えます。
「3章 実践編 産地がお米を適正価格で売るにはどうすればいいのか?」
産地が自分たちのお米を適正価格で販売するには、自分たちのお米の特徴を棚卸しする必要があります。そしては小規模イベントやSNSをフル活用することが大事です。
「4章 事例集 引く手あまたの品種・産地・生産者の例」
実際に小池がコンサルティングしている産地の事例や、付き合っている生産者の実例を挙げ、そこからなぜ彼らのお米が売れているのか、共通の法則を類推します。
「5章 お米のこれからを語ろう 新しい希望の取り組み
外国人に評価されるお米、輸出に向けた新たな動き、新しい消費方法の展開など、各地で萌芽している「お米の可能性」について紹介しています。
いかがでしょうか?
大事なのは
「お米の魅力をあぶりだし、その魅力を効率よく消費者に伝え、そしていかにお米ファンになってもらうか?」
……それこそがお米の消費拡大の近道なのです。
これはお米だけの話ではありません。
すべてのもの・ことに共通する発想です。
ある人の感想です。
「小池さんのおかげで、当たり前すぎて意識していなかったお米のおいしさの違いをちゃんと言葉にして気づかせてもらえて、人生を5倍ぐらい得した気分です!」
皆さんもぜひ、本書をご一読いただき、お米の魅力再発見を体験してみてください。
この記事を書いてくれた人:小池理雄(小池精米店三代目)
1971年原宿生まれ。明治大学卒業後、会社勤務を経て2006年に小池精米店を継ぐ。五ツ星お米マイスター。テレビやラジオ、新聞、雑誌、ネット等のメディア出演多数。
共著「お米の世界へようこそ!」(経法ビジネス出版)