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食事を作る人の負担を軽く! 思いやりから生まれた料理兵庫県郷土料理「とふめし」

兵庫県丹波篠山市に伝わる豆腐めしは「とふめし」と呼ばれ、約120年も前から地域の集まりの際に作られてきたといいます。

この郷土料理を若い世代に伝え、絶やすことなく食べ継ごうという活動があります。

人の集まるところに「とふめし」あり

「とふめし」は、炊き立てのご飯に豆腐、野菜や塩鯖などを炒めた具材を混ぜた料理です。具だくさんなので食べ応えがあり、一品で栄養バランスが整うのが特徴。

そもそも「とふめし」は、村の長老の思いやりから生まれた料理でした。
 
その昔、観光総裁など大勢が集まる際は、大量のご馳走を作ってふるまっていました。でも様々なご馳走をたくさんの小皿に盛り付けてお膳を組むことは、大変な時間と労力がかかってしまいます。

そこで長老が放った一言は
「お膳の上のご馳走を全部混ぜてしまえ」でした。

ご飯、魚、豆腐、野菜など全ての料理を混ぜて作った「とふめし」の誕生です。

郷土料理を次世代に受け継ぐ地域の人々

郷土料理の中には、当時を知る人が少なくなったり、きっかけとなった行事がなくなると、途絶えてしまうものも少なくありません。そこで丹波篠山市では、地域の郷土料理として長く受け継がれてきた「とふめし」を次世代に受け継ごう、地域活性化に繋げよう、という活動が生まれました。
 
当時を知る地元の有志が始めた食堂「コミュニティキッチン結良里(ゆらり)」では、地元の人はもちろん、観光客に向けて「とふめし」の定食やお弁当の提供をスタート。入居する建物の建て替えで食堂が一旦閉鎖された後も、復活を求める声が多く寄せられたそうです。
そして現在は、地域の直売所やレストランで「とふめし」の提供を再開しているそうです。

素朴だけど奥深い「とふめし」は2度楽しめる

丹波篠山市で大切に受け継がれている「とふめし」を早速作ってみたいと思います。
昔は塩さばが使われていたようですが、現代使われているのは手軽なさば缶でした。

「とふめし」の作り方

【 材料 】4人分
・米            2合
・水            380㎖程度
・さば水煮缶        1/2缶
・木綿豆腐         1丁
・ごぼう          小1本
・人参           1/2本
・うすあげ         1枚
・塩            ひとつまみ   
・こめ油          大さじ1杯
・しょうゆ         大さじ2杯   
・酒            大さじ1杯
・みりん          大さじ1杯

【 作り方 】
(1)お米に水を加えて、少し固めに炊きます。
(2)木綿豆腐を水切りしておきます。
(3)うすあげに熱湯をかけて油抜きをします。
(4)ごぼうを千切りにして水にさらします。
(5)人参とうすあげも千切りにします。

(6)鍋にこめ油を熱し、(4)と(5)を入れて塩をふってから炒めます。
(7)野菜がやわらかなくなったら、さばと豆腐を加えます。
(8)(7)に調味料を加えて、炒り煮をします。

(9)炊きあがったご飯に、(8)を混ぜて完成です!

\ 作り方のポイント /
具材は炊き込まずに、油で炒めて煮含めてから、炊いたご飯と混ぜ合わせます。そのため香ばしい香りや適度に残る歯ごたえが特徴です。
 
「とふめし」の外見から白和えのような味わいかなと思いましたが、全く異なるものでした。さばの主張が思いのほか強く、例えるならひつまぶしのようなパンチのある料理です。豆腐・野菜・さばという異なる食材の仲立ちをしているのは、ご飯。噛み心地も味も対極にある食材を上手に仲介して、豊かにまとめあげていました。

「とふめし」はお茶漬けにすると、また違った味わいが楽しめます。
白だしベースのスープをかけるだけですが、さばのうまみや野菜の風味が一体となったスープの滋味深い味がとても美味。仕上げにチョンとのせたわさびとねぎの薬味がこの料理をキリリとまとめ上げていました。お酒を飲んだ後の締めや、寒くなる時期の夜食におすすめです!
 
「とふめし」は、食事を作る人の負担を軽くしようという思いやりから生まれた料理です。長年地域で伝えられ大切に食べられてきた料理は、現代も食の安全性や豊かさを守ってくれています。郷土料理の伝承はもちろん、手軽に作れてとびきりおいしい。「とふめし」をぜひご家庭で味わってみて頂ければと思います。

アレルギーについての注意点
掲載しているレシピには、特定のアレルギー体質を持つ場合にアレルギー反応を引き起こすおそれのある食材を含むことがあります。
特に初めて口にする赤ちゃんにはご注意ください。
 
[ 特定原材料 ]
卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生
 
[ 特定原材料に準ずるもの ]

アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、 ごま、カシューナッツ

この記事を書いてくれた人:井上リエ
プロフィール:東京都在住。図書館司書を経て、ライター活動中。食べること料理すること、玄米とワインを愛する食いしん坊。
趣味はヨガ、旅行、ハーブの栽培で、健康と美容への探求心も旺盛。


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