〜ふりかけの歴史〜「ふりかけの元祖」はいったい?
「ふりかけ」の定義
日本の多くの家庭で常備されている「ふりかけ」。
ふりかけメーカーでつくる業界団体である全国ふりかけ協会によると、ふりかけとは「水産物、農産物、畜産物等のうち、一種または複数種を調味乾燥し、又これに海苔、胡麻、調味料、その他を混合。主として、主食その他にふりかけて食する副食」と定義しています。
こう聞くと少々難解な気もするが、なんてことはない。
そもそも「ふりかけ」の語源は「ごはんにふりかけて食すもの」。
細かく刻んで、ごはんにふりかけて食べるものは総じて「ふりかけ」と言えるのです。
「ふりかけ」の誕生
「ふりかけ」の歴史は古く、平安末期から鎌倉時代にかけて編纂された日本最古の料理書『厨事類記』には、「鮭を塩づけしてほして削りて供す」という記述があり、鮭ふりかけの原型のような料理が見られます。
そのほか「サケ、鯛、サメの肉を細かく切って塩干しにした楚割(すわやり)」「はなかつほ(花鰹)」といった名称も見られ、「ふりかけ」は少なくともは鎌倉時代にはあった、とみてよいでしょう。
「現代ふりかけ」の元祖は一体?
商品として流通する「現代ふりかけ」は大正時代初期、熊本で誕生したと言われてきました。
これは、1994(平成6)年10月の全国ふりかけ協会総会で、株式会社フタバの「御飯の友」を「現代ふりかけ」の元祖と認める決定をしたためです。
ところがこの決定に待ったがかかります。
実はこの決定がなされる前に「現代ふりかけ」の元祖とされていたのは、1916(大正5)年に発売された広島の田中食品株式会社「旅行の友」でした。
田中食品は元祖認定の調査に不公正があったと訴え、ふりかけ業界全体を巻き込んだ元祖論争が30年近く繰り広げられました。
そして2022(令和4)年6月に開催された全国ふりかけ協会総会にて、フタバの「御飯の友」の元祖認定が取り消しされ、再調査を行うという決定がなされました。
ふりかけの元祖はいったいどれなのか。
真相は今後の調査に委ねられることとなりましたが、「御飯の友」も「旅行の友」も超ロングセラー商品として愛され続けていることに変わりはありません。
どちらもおいしいごはんと一緒に楽しみ続けたいですね。
この記事を書いてくれた人:江戸川渓谷(えどがわけいこく)
プロフィール:三度の飯とおにぎりが好き。趣味は道の駅めぐりに商店街散策、メタボ対策のトレッキング。うまいものは足で稼ぐのが信条。ゲットした惣菜で晩酌するのが最近の楽しみ。