お米が出てくる昔話3選
「おむすびころりん、すっとんとん」
「ころりんころりん、すっとんとん♪」
思わず口ずさんでしまうこのフレーズは、日本の昔話「おむすびころりん」から。昔話にはお米がテーマになっているものも結構ありますね。
今回は3つのお話をご紹介します。
ねずみにあげたおむすびのお礼は……? 「おむすびころりん」
ざっくりあらすじ:
正直なおじいさんが山でうっかり落としたおむすびが、ねずみの穴の中へ。おじいさんはねずみ達に歓待され、おむすびのお礼にと金銀財宝のお土産をもらって帰ります。をれを聞いたとなりの欲深いおじいさんは……?
絵本で描かれているのは、大きくて丸いおむすび。見るからにとてもおいしそうです。貨幣の価値が不安定な時代では、お米は小判や金銭よりも信用があったのかも……? このおにぎりは、ねずみ達にとってはたくさんの金銀財宝と同じ値打ちがあったのですね。
さるが欲しがったおにぎり「さるかに合戦」
ざっくりあらすじ:
さるにだまされておおきなおにぎりと柿の種を交換したかに。家の庭に種を植えると柿の実がたくさんなりました。そこへやってきたさるが、柿の木から実をかにに投げつけたため、かには息絶えてしまいます。かにの子供たちは、臼・栗・蜂や牛のふんと一緒にさるをやっつけに行きました。
ここで登場するのは、大きなおにぎりです。小さな柿の種と対照的に描かれているので、おいしそうに見えますね。さるが欲しがったのは、今すぐ食べられておなかいっぱいになるおにぎり。もしおなかがすいているとき、目の前においしそうなおにぎりがあったら……? その魅力に抗えないかもしれません。
夢見る白いご飯「吉四六さん~米のご飯を腹一杯~」
ざっくりあらすじ:
とんち好きの吉四六さんは、ある日近所の貧しい家の子どもを預かります。一度でいいから白いご飯を食べてみたいと子どもは言いました。しかし当時のお米は、お祭りやお祝いなど特別な時しか食べることができませんでした。そこで吉四六さんは一計を案じ、おかみさんに白いご飯のお弁当を作ってもらうことに成功。子どもは「おいしい、おいしい!」と夢中になってご飯を食べました。
粟や麦のおかゆが一般的な食べ物だった時代、お米はさぞ特別なものだったのでしょう。白いご飯をおなか一杯に食べてみたいというのは、子どもだけではなく、みんなの願望だったのかもしれません。
米という言葉の語源は所説ありますが、「込める・籠める」という意味を持っているそうです。古くから様々な儀式や祭礼に使われてきた米は、なにか神聖なものが「こめられた」存在なのでしょう。今日もおいしいご飯を頂けること、幸せですね。
この記事を書いてくれた人:井上リエ
プロフィール:東京都在住。図書館司書を経て、ライター活動中。食べること料理すること、玄米とワインを愛する食いしん坊。
趣味はヨガ、旅行、ハーブの栽培で、健康と美容への探求心も旺盛。