ウイルスに負けない「梅干し」のひみつ
やっかいな梅雨の時期到来。心身ともに疲れが溜まります。
今はアルコール消毒など、これまで以上に衛生面に気を遣っていると思いますが、実はこれからの季節はさまざまな細菌やウイルスに特に注意が必要なのです。
そこで今回は、疲労回復効果と抗菌・抗ウイルス効果が期待される、日本が誇る伝統食品「梅干し」を紹介したいと思います。
初夏の長雨は、なぜ「梅の雨」という?
そもそも、なぜこの初夏の長雨の季節を「梅雨(つゆ)」と呼ぶのでしょう。その語源・由来には諸説あるようです。
文字については、
・元々中国では黴(カビ)の生えやすい時期の雨のことを指す「黴雨(ばいう)」と呼ばれていたが、カビでは語感が悪いので同じ音の「梅」を使い「梅雨」とした。
・「梅の実が熟す時期の雨」を指す意味として「梅雨」とした。
読み方については、
・雨露の「露(つゆ)」
・梅が熟すという「熟(つ)ゆ」
・梅が熟してつぶれる様子から「潰(つ)ゆ」
という説が有力なようです。
梅干しの効果効能
江戸時代後期の本草学者・小野蘭山によって書かれた『飲膳摘要《いんぜんてきよう》』という書物に「梅干しの七徳」について書かれています。
【 梅干の七徳 】
一 毒消しに功あり。
うどん屋は必ず梅干を添えて出す。
二 防腐に功あり。
夏は飯櫃《めしびつ》に梅干一個を入れておけば腐らず。
三 病気を避けるに功あり。
旅館では必ず朝食に梅干を添えるを常とす。
四 その味かえず。
五 息づかいに功あり。
走る際、梅干し口に含めば息切れせず。
六 頭痛を医するに功あり。
婦人頭痛するごとに、こめかみに貼るを常とす。
七 梅干しよりなる梅酢は流行病に功あり。
昔から「一日一粒で医者いらず」と言い伝えられる梅干し。
なんと当時から、流行病に対する効果効能まで注目されていました。
梅には疲労回復効果がある「リンゴ酸」や「クエン酸」が豊富に含まれており、防腐効果や食欲増進、整腸作用に役立ちます。
また梅干しにも含まれる「梅酢ポリフェノール」には、インフルエンザウイルスなどに対する抗ウイルス作用があると、日本ウイルス学会でも発表されています。
新しいウイルスに対しての効果は未知数ですが、梅干しが知らず知らずのうちに国内の爆発的感染を抑える役目を担っているのかもしれません。
なお、全国的に梅雨が明ける7月30日は「梅干しの日」。
制定したのは和歌山県みなべ町の東農園さんで、土用の丑の頃、梅雨明けを待って梅を干す「土用干し」の時期であることと、昔から梅干しを食べると「難が去る」と言われていることから「730(なんがさる)」という語呂合わせで決めたそう。
さまざまなウイルスにも負けない食材のひとつとして、ぜひ「梅干し」を思い出していただけたらと思います。
この記事を書いてくれた人:江戸川渓谷(えどがわけいこく)
プロフィール:三度の飯とおにぎりが好き。趣味は道の駅めぐりに商店街散策、メタボ対策のトレッキング。うまいものは足で稼ぐのが信条。ゲットした惣菜で晩酌するのが最近の楽しみ。