サステナブルを目指す時代。今注目の「米オーナー制度」
農作物に対して、消費者が予め予約注文を入れておき、収穫後に受け取ることができるオーナー制度。お米のオーナー制度は、田植えや稲刈りなどの農業体験もできる特典があります。
「農業体験ができる」「エシカルな暮らしが叶う」とかで、じわじわと人気を集めているそうです。
そこで今回は、生産者と消費者をリアルに繋ぐ、お米のオーナー制度をご紹介します。
美味しく食べて体験して、産地を応援!
「SDGs」や「サステナブル」などの言葉も一般的となり、自分や環境への優しさを意識した消費行動は、世界のトレンドにもなりつつあります。
農作物のオーナー制度も、その一つ。食材への理解を深めながら、継続して産地を応援するという取り組みです。
米オーナーは、消費者であるオーナーが契約に基づいて農家さんに会費を前払いし、その対価として水田の一区画を割り当てられ、そこで収穫したお米を頂くというものです。米作りの一連の作業の内、田植えや稲刈りなどに携われたり、宿泊して地元のイベントに参加するなど様々な作業体験や特典を伴っているのが特徴です。
▲ 種の選別風景
作り手と消費者の繋がりから広がる本当の「豊かさ」
米オーナーの最大の魅力は、自宅に届くお米を楽しめるだけでなく、作る人と食べる人が触れ合い繋がれるということです。
例えばオーナーが米作りの一部を分担して、その他の日常的な作業を農家さんが担うという、連帯感。双方の協働によってお米の収穫に結びつくというプロセスは、良好な関係性や信頼感の構築に繋がります。
オーナーはお米の生育状況を目にすることで農業に対する理解が深まり、農家さんと一緒に水田を守ると言う実感を持てます。国産食材への認識が深まり、お米を食べることに対する意識も変わります。お米の消費量が上がることで日本の食料自給率の底上げにも貢献できるかもしれませんね。
さらにオーナーと農家さんとの結びつきが深まれば、農家さんの収入の安定と生産意欲の向上が期待できます。そして地域の活性化や新しいビジネスの創出にも繋がるかもしれません。
米作りを通じて触れ合い、収穫の喜びを共に味わうことで、生産者と消費者という垣根を越えた継続的な関係が築けるのですね。
お米作りから学ぶこと。楽しい体験談あれこれ
宮崎県の県央の綾町で『無農薬、無化学肥料、天日掛干し』を掲げて、お米を栽培している「いのち塾」さん。
豊かな水と空気に恵まれた綾町の錦原台地で、自然の営みに沿った農業の学びと実践の場を開いています。それは『農薬・肥料を用いない、草や虫を敵としない』こだわりの農法です。
いのち塾さんでは、無農薬の田んぼのオーナー制度に取り組んでいます。月額1,500円にて田植え、稲刈りや収穫祭などに参加でき、秋には収穫されたお米が18kgほど届きます。(天候などによって収穫量が変わります)
米オーナーになった人たちの感想からは、高い満足度がうかがえます。様々なメリットを感じているようです。
「お米とってもおいしかったです。かなりびっくりでした!」
「子連れでの参加にも関わらず、暖かなご指導を有難うございました。 色んな方とも話ができてとても楽しい時間でした」
「やさしい自然な味のお米、有難く頂いております。 『お米を育てる』というよりも、お米に育てられた私のような気がしております」
米オーナーを通じて豊かな自然に囲まれた暮らしや郷土文化に触れることは、都会に住んでいるオーナーにも新しい学びや発見を与えてくれるに違いありません。
▼ いのち塾さんの米オーナーは、こちらから
水田で農作業に携わり、成長を見守ったお米。自分だけのストーリーがあるお米が届く日を待つのも楽しいものです。
産地で働いている人たちについて知ることは、応援に繋がります。
美味しいお米を食べることを通じて、環境や社会貢献への行動を始めてみませんか。
この記事を書いてくれた人:井上リエ
プロフィール:東京都在住。図書館司書を経て、ライター活動中。食べること料理すること、玄米とワインを愛する食いしん坊。
趣味はヨガ、旅行、ハーブの栽培で、健康と美容への探求心も旺盛。
参考)
■ 尾高恵美「消費者との関係性強化による6次産業化 ─農産物オーナー制度と地域支援型農業を事例として─」、農林金融2017.2、農林中金総合研究所
■ 水田オーナーズクラブ
■ 棚田オーナー制度募集地域紹介サイト/棚田百貨堂