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熊本県の郷土料理「かすよせ」を作ってみた

熊本県の東部に位置する山都町(やまとちょう)。
町のシンボルは、江戸時代に造られた石組みの水路橋『通潤橋(つうじゅんきょう)』で、国の重要文化財にも指定されています。
今回は水と空気が綺麗なことで知られているこの町で、古くから食べられている郷土料理「かすよせ」をピックアップ! アレンジレシピまで、ぜひご覧ください。

家族で「かす」を「寄せて」食べた「かすよせ」

山都町はその名の通り、山に囲まれ山の幸に恵まれた地域です。
まだお米が貴重だった時代は、家族みんながおなかいっぱい食べられるようにと、料理に様々な工夫をしていたといいます。
そこで生まれたのが「かすよせ」です。
大豆をすり潰した呉汁(ごじる)のことを、九州では「かす」と呼んでいます。それにお米や野菜など様々な具材を集めて(寄せて)一緒に煮るから、「かすよせ」。
「そこにあるものを集めてつくる」という意味があるようです。特にお米は腹持ちがよい食材なので、加えることでボリュームがアップします。
味付けは、醤油、みりんと砂糖だけ。

一見すると白和えのようにも見えますが「かすよせ」にはお米が入っていることが最大の特徴です。
使うお米は、うるち米、粘り気を出すためのもち米やお団子など、家庭によって様々です。
大豆とお米を基本として、中に入れる食材はその時に家にある食材で自由にアレンジするという、まさに家庭料理の代表格。
地域によっては「かぼちゃは必ず入れる」「いや絶対に入れない!」という食材のこだわりもあるのだとか。

栄養豊富なワンプレートごはん「かすよせ」

「かすよせ」は、大豆と鶏肉のたんぱく質と野菜が一緒においしくとれる料理です。ワンプレートで栄養バランスが整ってお腹も満たされ、さらに食事の準備や後片付けが楽になるなど、メリットもたくさん。

この農家の知恵が詰まった「かすよせ」は、家族の幅広いニーズに応えてくれます。例えば、

飲みすぎや食べすぎた翌日に胃腸を休めたいとき
受験生の夜食としてちょっとお腹がすいたときに
赤ちゃんの離乳食など

日常の様々なシーンに寄り添ってくれる料理と言えるでしょう。

その昔は、大豆をすり潰すのに石うすを使っていたので、大変な力仕事だったそうです。でも今はミキサーやブレンダーがあるので、手軽に作ることができますね。郷土料理は、こうして時代にフィットしながら守られているのだなと感じます。

お鍋いっぱいの「かすよせ」を作ってみた。翌日のお楽しみアレンジも!

それでは、レシピを参考に「かすよせ」を作ります。
「かすよせ」のポリシーは、"家族がお腹いっぱい食べられること"なので、お鍋いっぱいの量で。そして個人的にはかぼちゃが好きなので、かぼちゃ有りバージョンで!

【 材料 】4人分
・水煮大豆 100g
・白米 100g

・しいたけ 2枚
・里芋 2個
・かぼちゃ 100g
・鶏もも肉 100g
・人参 1/4本
・玉ねぎ   1/4本 
・グリンピース 少々

・だし汁     180mL程度
・薄口しょうゆ  大さじ2杯
・みりん     大さじ1と1/2杯
・砂糖      小さじ1杯

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【 作り方 】
(1)お米を水に漬けておきます(1時間程度)。
(2)鶏肉と野菜を2センチ角程度に切ります。
(3)大豆をブレンダーで細かくすり潰します(なめらかな感触になるまで)。

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(4)お鍋に油を熱して、鶏肉を炒めてから、グリンピース以外の野菜を炒めます。

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(5)水気を切ったお米と出し汁を入れて炒めます。
(6)汁気がなくなったら、すり潰した大豆を入れます。

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(7)焦がさないように混ぜながら、7、8分程度炊きます。
(8)調味料を入れて、味がなじむようによく混ぜます。
(9)グリンピースを入れて、鍋の蓋をして20分程度蒸らせば、完成です!

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\ 作り方のポイント /
食材の味を生かすように、味付けは薄味を意識しました。水分が少ないため焦げないように、優しく混ぜながら作ります。

「かすよせ」をおからのようなものとイメージしていたら、良い意味で裏切られるかもしれません。
スプーンですくって食べてみると、お米の粒々した食感、大豆、さといもやかぼちゃのねっとり感が混ざりあい、優しい味わいが感じられました。

じっくりと煮た野菜の甘味を生かせるように薄めに調味されているので、噛むごとに山里の滋味深さが広がっていきます。洋食器に盛り付けたら、何だか和風のリゾットのように見えますね。かぼちゃを多く入れたせいか、全体が幸せなかぼちゃ色に染まりました。

「かすよせ」は多めに作って、次の日はコロッケにアレンジして食べるのがおすすめです。
おにぎりのように丸めてその中にチーズを入れ、こんがりきつね色に揚げました。そう、イメージしたのはイタリアの"マンマ"が作るライスコロッケです。サクッとした衣とねっとりとした「かすよせ」、とろりとあふれるチーズの食感のコントラストが楽しい一品に大変身。ウスターソースをたっぷりとかけて、召し上がれ!

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「かすよせ」は、大豆、お米や野菜のうま味が穏やかに混ざり合った、しみじみとした美味しさを感じられる料理です。
ヘルシー女子のワンプレートランチ、育ち盛りのお子さんのおかず、お父さんの今夜の晩酌に、幅広く楽しむことができるのが魅力。
いつの時代もおばあちゃんやお母さんが、家族のために愛情をこめて作り上げてきた『マンマの味』ですね。
素朴で温かな「かすよせ」は、これからも家庭で大切に受け継がれる郷土料理であり続けるでしょう。

アレルギーについての注意点
掲載しているレシピには、特定のアレルギー体質を持つ場合にアレルギー反応を引き起こすおそれのある食材を含むことがあります。
特に初めて口にする赤ちゃんにはご注意ください。

[ 特定原材料 ]
卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生
[ 特定原材料に準ずるもの ]
アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、 ごま、カシューナッツ

この記事を書いてくれた人:井上リエ
プロフィール:東京都在住。図書館司書を経て、ライター活動中。食べること料理すること、玄米とワインを愛する食いしん坊。
趣味はヨガ、旅行、ハーブの栽培で、健康と美容への探求心も旺盛。

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