未来に向けて、期待が広がる「スマート農業」について
(1)スマート農業とは
日本の農水省が定める「スマート農業」とは
という定義となっています。
日本の農業の現場では、人の手で行う作業や、熟練者でなければできない作業が多く、省力化・人手の確保・負担の軽減が重要な課題となっています。そこで、日本の農業技術に「先端技術」を駆使した「スマート農業」を活用することにより、農作業における省力・軽労化を更に進められる事ができるとともに、新規就農者の確保や栽培技術力の継承等が期待されます。
ICT技術により、熟練農家の農業技術を若手農家に技術継承することが可能になったり、データの活用・解析により、農作物の生育や病害を正確に予測し、高度な農業経営が可能になるというメリットも期待されています。
(2) スマート農業によって、米づくりがどのように変わっているか
これまでは、農家ごとの「手技」や、気候を読む「勘」といった、受け継ぐことが難しい米づくりの技術を、「スマート農業」を取り入れることにより自動化したり、データによって客観的に捉えることにより、米づくりの安定効率化を図ることができるようになってきています。
田植えや稲刈りのロボットによる自動化・気候データと育成データの分析による作業割り出し・スマホで操作する苗のハウスや水田の水管理システムなど、先端技術による作業の自動化により、それぞれの農家による規模拡大も可能になってきました。これまでの米づくりのやりかたを大きく転換するかもしれないイノベーションとも言えます。
横田農場では、「スマート農業」技術により160haを超える水稲栽培が可能になりました。すべての水田の栽培記録や収穫量などをデータ化して、圃場管理しています。また、重労働だった肥料散布等もドローンで作業することによって、省力・軽労化とともに作業時間の短縮にもつながっています。
(3)スマート農業の、これからの挑戦
稲作の場合は、現状ではロボット田植え機・ロボットトラクター等のロボット開発も進んでいます。
しかしながら、同時にロボット化の問題点も抱えています。
ロボットトラクターは、誰かが常に監視していないと動かせないのです。また田植え機についても、オペレーターが乗る・もしくは近隣から遠隔操作しなければなりません。そうすると従来の作業にかかる人件費のコストはあまり変わらないのです。
「スマート農業」を取り入れることにより、コスト減・収穫量増という結果が生まれないことには、意味がなくなってしまいます。
しかしながら、情報通信技術(ICT)を活かしたデータ駆動型の農業は、収穫量や品質の向上につながります。温暖化などの気候変動・これまでにない規模拡大などの生産環境の変化に対応するために、従来のやり方をそのまま続けるのが難しくなってきているため、データ(過去のデータ・成功事例のデータ)を使うことにより、収穫量や品質の向上させることが可能になり、生産性を上げることやムダをなくすことが可能になるのです。
これからの「スマート農業」に期待することとしては、ロボット機械のルールの変更や、より自動化の範囲が広がっていくことによって、人が介在しなくても作業がひとりでできるロボット開発や、技術をより高度化する(例えば鳥に反応して止まってしまう等を解消する)を、学習能力があるAI搭載ロボットなどにより可能にすることなどが挙げられます。
まだまだこれからの「スマート農業」の未来。
期待が広がります。
この記事を書いてくれた人:横田 祥(よこた さち)
プロフィール:茨城県のお米農家の嫁。「おこめLABO」にて、田んぼの学校・米粉スイーツ販売・米粉のスイーツ&料理教室など開催。海外の方向け教室も実施。「農業は楽しい!」を日本中の子どもたちへ伝える絵本【AGRI BATON PROJECT】代表。