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知る人ぞ知るお米#2 三重県産「結びの神」

今回は「知る人ぞ知るお米」シリーズの第二弾、
三重県産「結びの神」をご紹介します。

三重県産のお米……関東の人にとってはあまりなじみがないかもしれませんが、三重県と言えば伊賀地方のお米が有名です。
実は約400万年前には伊賀地方は琵琶湖だったのです。琵琶湖の湖底であったため今でも伊賀の土地は肥沃であり、収穫されるコシヒカリは「食味ランキング」で最高評価の「特A」を頻繁に獲得しています。
ただ、今回はその「伊賀米」ではなく、三重県独自品種として開発された「結びの神」についての話です。

実はこの「結びの神」というのは品種名ではなく「ブランド名」です。品種名は「三重23号」。この中から、厳しい条件をクリアしたお米のみが「結びの神」と名乗ることができるのです。

その基準とは、

①こだわりの農法で
「みえの安心食材認証」を取得していること

②品質基準「農産物検査1等米格付、
玄米タンパク含有量6.8%以下
に合格

というものです。

品種「三重23号」とは

ここで「三重23号」の来歴について簡単にご説明しましょう。
「猛暑でも安定した収穫量で高い品質、そして、美味しいお米になる」ことを目標に、三重県農業研究所が12年の歳月をかけて開発、平成24年度に「三重23号」が誕生しました。お米は気温が上がると品質が著しく落ちますが、「三重23号」はそういった猛暑であっても安定した品質となるべく開発されたお米です。
事実、2023年の歴史的猛暑のなかで各地のお米が軒並み品質を落とす中、「三重23号」の1等米比率は実に9割を超えています。地域的諸条件の違いはありますが、日本を代表するお米である「新潟県産コシヒカリ」の1等米比率が5%に満たないことを考えると、「三重23号」の底力が推し量れます。
その「三重23号」の中でも選ばれしお米が「結びの神」なのです。

名前の由来

その名前は、『食・地域社会・自然』などと『人』との間で、「つながり」が薄れていると言われているなか、生産・流通・消費の「つながり」や食卓における人と人との結びつきの「わ」(輪・和)を大事にしたい……という願いを込めて「結びの神」と命名されました。

その味は……大粒でいてふうわりして軟らかく、それでいてしつこい粘りはなく、さっと旨味が舌に立ち、そして流れていくような、嫌みのない甘味と粘りがあり非常に上品な味……と言えます。

そして小池精米店では、その「結びの神」の中でもさらに上位クラスに来るであろうというお米を扱っています。

弊社では三重県の鈴鹿地方にある生産者、「スズカトラクター」太田翔さんから仕入れています。
三重県の鈴鹿という場所は、決してお米生産に特化した地域ではありません。しかしこの地で稲作を展開している太田さんはそのような条件もなんのその、常に安定していいものを出してくれるのです。

彼の口癖は「ええもんつくります」です。

太田さんは都内で三重県のお米のイベントがあると必ず呼ばれるほど、三重県内では「結びの神」の代表的な生産者です。まだ年齢も若く、毎年新米ができるたびに必ず感想を弊社に尋ねてくるほどに熱量がある男です。

「結びの神」自体、その味が他品種との差別化がしやすいということもありますが、こういった太田さんの姿勢を見ると、私たち米屋も安心してお客さまにお勧めできるのです。

最近では「粒に弾力があり、噛むと中のでんぷんがじゅわっとにじみ出るようなお米」が流行っている中で、「結びの神」はそこまで前へ前へと自己PRしてくるお米ではなく、控えめで、しっとりと穏やかな、そして上品な味を醸し出しています。その上品さが評価され、小池精米店では都内の高級ホテルからのご注文も承っているほどです。

その名前といい、味といい、まさに「神」と呼ぶにふさわしいお米と言えるでしょう。

この記事を書いてくれた人:小池理雄(小池精米店三代目)
1971年原宿生まれ。明治大学卒業後、会社勤務を経て2006年に小池精米店を継ぐ。五ツ星お米マイスター。テレビやラジオ、新聞、雑誌、ネット等のメディア出演多数。
共著「お米の世界へようこそ!」(経法ビジネス出版)