食後の眠気や深刻な病気につながる「血糖値スパイク」を防ぐ食事の摂り方
痩せていても油断は禁物!
しのびよる血糖値スパイクの影
昼食を食べた数時間後に急激な眠気を感じることはありますか? 「ある」という方はもしかしたら血糖値スパイクを起こしているかもしれません。
血糖値スパイクとは
食後、数時間のうちに起こる一時的な血糖値の急上昇のことです。
グラフで表すと以下のようなイメージになります。
血糖値の上がり下がりがまるでとがったスパイクシューズの針のように見えるのがおわかりになるでしょう。
このような血糖値の異常は太った中高年の方に起きるイメージが強いかもしれませんが、若い痩せ型の女性などにも多く起きていることが分かってきています。健康診断の結果が問題ない方も油断できません。
血糖値スパイクは高血糖になっている時間が短いため、健診結果に表れないことも多いからです。
以下のような症状を感じている方は、血糖値スパイクを起こしているかもしれません。自分が当てはまらないか、まずはチェックを!
食後2時間以内
・頭痛、ほてり、動悸、発汗
・急な空腹感
食後3、4時間後
・強い眠気、強い空腹感
・手の震え、冷え1
・集中力の低下
睡眠中
・夜間の体の緊張、歯ぎしり、食いしばり
・目が覚める、疲れが取れない、発汗
複数の項目に当てはまるという方は、血糖値スパイクを起こしている可能性があります。
血糖値スパイクは肥満や糖尿病を招きやすいことに加え、脳梗塞、心筋梗塞、がん、認知症など深刻な病気のリスクを高めるため、早めの対処が必要です。
血糖値スパイクを起こしやすい食事の摂り方
血糖値スパイクを防ぐために、まずは何を食べると血糖値が上がりやすいか知っておく必要があります。
血糖値は食事で糖質を含む食品を食べると上昇します。
糖質を多く含む食品は、ご飯(米)、パン、麺類、甘い菓子、糖分入り飲料、芋類、南瓜、トウモロコシなどです。
体内に入った糖質は分解されると腸から吸収されて、ブドウ糖として血液中に取り込まれます。ブドウ糖は体に必要不可欠な栄養源なので、血液中のブドウ糖の量(=血糖値)は一定に保たれるようになっています。
食後は血糖値が上がりますが、体の機能が正常であれば急上昇することはありません。ただし、以下のようなケースでは、血糖値スパイクを起こしやすくなります。
・肥満 または やせ型
・内臓脂肪が多い、筋肉が少ない
・血縁者に糖尿病がいる
・食事が1日2食以下
・食事間隔が8時間以上空く
・間食や甘い飲料を摂る習慣がある
・食事は5分以内の早食い
・主食(ご飯・パン・麺類)を大盛り、おかわり、または重ねて食べることが多い
・主食を抜くことが1日1回以上ある、または極端に減らしている
いかがですか?
一見、血糖値とは関係ない項目や、血糖値を下げるのによさそうな項目もあるので、あてはまる方はご注意ください。
血糖値スパイクを防ぐ食事の摂り方5箇条
では、具体的に血糖値スパイクを防ぐ食事を法をご紹介します。
(1)1日3食きちんと食べる
食事を抜くと、次の食事で血糖値スパイクが起きやすくなります。
(2)主食は毎食、適量を食べる
ご飯、パン、麺類などは摂りすぎると血糖値スパイクが起きやすくなります。かといって抜いてしまうと次の食事で血糖値スパイクが起きやすくなるので、毎食、適量を食べましょう。
(3)よく噛んでゆっくり食べる
早食いは血糖値を急上昇させます。食べ始めてから糖質に手を付けるまで最低5分はかけましょう。
(4)食べる順番に気を付ける
野菜や肉・魚・卵・大豆製品などから食べ、その後糖質を食べましょう。
丼物や麺類を食べる時も意識してください。
(5)間食、甘い飲み物は控えめに
食べた時に甘いと感じる食べ物や飲み物は非常に血糖スパイクを起こしやすいため、なるべく控えましょう。
ご飯と味噌汁の定食が血糖値スパイクを防ぐ
血糖値スパイクは、ご飯などの糖質をたくさん食べても、食べなさ過ぎても起こりやすくなります。
おすすめの食べ方はご飯と味噌汁にメインを加えた定食スタイル。
ご飯はパンや麺よりよく噛めるため、食べ方がゆっくりになることで血糖値の急上昇を抑えられます。野菜や肉魚などのおかずと合わせやすく、食べる順番も意識しやすいです。
パンだけ、麺だけといった糖質のみの単品食べや、ラーメンとライス、麺と丼、パスタとパンといったダブル炭水化物の食事になりにくく、栄養バランスを整えやすいというメリットもあります。
自宅で作る場合は一汁三菜などと頑張らなくても構いません。みそ汁に具をたくさん入れればそれで立派なおかずになるので、一汁一菜あれば十分。忙しくてご飯一皿で済ませたい時は、卵、納豆、ネギ、ひじき煮やきんぴらごぼうなど残り物のおかずなどをご飯にたっぷり載せて、よく噛んで食べましょう。
ほんの少しの心がけで血糖値スパイクを防いで、肥満や病気のリスクを避けてください。
この記事を書いてくれた人:赤松留美
頑張らない料理で健康をサポートする管理栄養士。36歳まで不健康OLだった経験をもとに、シンプルな食生活で心と体を元気にするための情報を発信している。1000人以上に妊婦やメタボリックシンドロームの方向けの個別栄養サポートを実施。お米を中心にした食事によるダイエット法を伝えるセミナー等を開催している。