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その年に収穫したお米は「新米」。では新人も「新米」と呼ぶのはなぜ?

新米が市場に出回る時期になりました。
お米好きな方にとっては、一年で一番楽しみだと言えるかもしれません。

ところで、仕事に不慣れな方や新入社員のことを「新米」と呼ばれることがあります。
今回は、この「新米」という言葉とお米には何か関係があるのか、調べてみました。

「新米」の語源は、日本の歴史とお米文化が関係

「新米」の語源については、いくつもの説がありました。特に有力なのが「新前掛け説」「新前説」「純白お米説」の3つです。

「新前掛け説」は、江戸時代に奉公人が前掛けを着用していたことからきている説です。新しく雇われた人が新しい前掛けをしていたことから「新前掛け」と呼ばれました。これが新前と略され、それがなまって新米(しんまい)と呼ばれるようになったというものです。

「新前説」は、新米はもともと「新前(しんまえ)」だったのが、音の変化とともに、「米」という字が当てられるようになった説です。
「前」という漢字には「それらしいもの、それらしいこと」という意味があります。例えば「腕前」(腕(技術・技能)というもの)、「男前」(男らしいこと)、「江戸前」(江戸風のもの)などがありますよね。それらと同じで、「新前」は「新しいもの」という意味になるわけです。

「純白お米説」は、不慣れな新人は真っ白で何色にも染まっていないことを比喩して新米と呼んだ説です。他にも、江戸に職を求めた新人が集まるようになった時代、同じように米も多く集まるようになったことから、新人の人と米をかけて新米と呼んだといった説もあります。

米の新米は、いつまでのことを言う?

ところで「新米」は、いつまでのものを指すかご存じでしょうか。
お米の表示時期は、JAS法(農林物資の規格化等に関する法律)」により定められており、収穫した年の年末(12月31日)までに精白・あるいは包装された精米に限られます。
ちなみに、年内に精米・包装されたお米が店頭に出回るのは年明けになり、店頭で売られる「新米」は、翌年初め頃~春頃の季節に限定されることがほとんどです。しかし最近ではネット販売で、現地直送されるお米もあり、昔より早く新米を楽しめるようになっています。

お米の収穫時期は、地域や品種によりバラつきがあります。
秋の台風など天候不良を避けるため、9月に出荷される早場米(はやばまい)、また誰もが知るコシヒカリも、他の米よりも1ヶ月程度早く、8月終わりには収穫が始まるなどさまざまです。

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一年を通じて、お米を美味しくいただくために

精米したての新米が一番美味しいとされていますが、季節を問わず美味しいご飯を食べたいものです。そのためには、お米の保存方法や炊き方で工夫することができます。

保存は、夏の暑い時期は虫がわかないように冷暗所に保管する、小分けにして精米するなど、ひと手間で良い状態を維持することができます。

お米を美味しく炊くためには、高性能な炊飯器や直火のガス炊飯器、土鍋で炊くなど、器具にこだわりをお持ちの方もいらっしゃいますが、基本的な美味しいお米の炊き方もぜひおさらいしておかれると良いですよ。

必見! ご家庭でできる美味しいご飯の「基本の炊き方」
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白いご飯に限らず、食事は何でも出来立てが美味しいですよね。
ただ、カレーやお肉、秘伝のソースのように、その日よりも熟成させたほうが深い味わいになるものもあります。
私たち人も、時間を経てこそ魅力が増す、“美味しい古米”になっていきたいものですね。

この記事を書いてくれた人:さとう きょうこ
専業主婦から毎日新聞社のライターを経て住宅会社に就職。広報、人事部を立ち上げ、『家を売るライター』として有名建築家や経営者、顧客を取材。雑誌書籍の編集や採用人事も担当。16年の勤務を経て2020年に独立。