知る人ぞ知るお米#1 岐阜県産「銀の朏」
今回から、五ツ星お米マイスター小池は
新シリーズ「知る人ぞ知るお米」
というお題で連載をスタートします!
みなさま、どうぞお楽しみに。
美味しいお米を探し求めている方、要チェックですよ〜!
ちなみに前回までは[どうしてそうなった!?]というお題で、おもしろい名前のお米を紹介していましたよ。
その連載記事はマガジン「クローズアップ」に格納されていますので、ご興味のある方はぜひのぞいてみてください。
さて、「知る人ぞ知るお米」では
五ツ星お米マイスターならではの視点で、
「あまり知られていないけれども、その実力は折り紙付き!」
という珠玉のお米をご紹介します。
いわゆる「知る人ぞ知るお米」というのは、お米の目利きがいるお店=つまり、米屋に置いてある場合が多くあります。
「知る人ぞ知るお米」は当然ながら、生産量はあまり多くありません。そのため生産者が大手量販店から声を掛けられても、年間を通じての販売ができません。
しかし米屋は比較的規模が小さいので、生産者は年間を通じて出荷できるだけの量を確保できます。
そして、「知る人ぞ知るお米」は少し値は張りますが、今やどこでもお米が買える時代に、わざわざ米屋でお米を買う「お米にこだわる」お客さんとは非常にマッチしています。
美味しいお米を愛してやまない、お米好きの読者のみなさま。ぜひこの連載を参考にお米を選んでみてください。
「朏」この漢字の読み方は?
さて第1回目の今回は、岐阜県産「銀の朏」をご紹介します。
「朏」……「みかづき」と読みます。
このお米は粒にうっすらと白い筋が走っているのが特徴で、「朏」はそこに由来しています。
この「銀の朏」はブランド名であって品種名ではありません。
品種名は「いのちの壱」といい、もともとは今から20年ほど前に岐阜県のコシヒカリの田んぼで発見された突然変異のお米です。そしてその中で有名なブランドの一つが「銀の朏」なのです。
さてこの「銀の朏」ですが、各地行われているお米のコンクールで何回も優勝しているという実績があります。平成28年・29年・30年・令和1年・2年・3年と、6年連続日本一を獲得しているのです。
弊社は今から10年ほど前に、当時すでに有名だった同じ「いのちの壱」のブランド米「龍の瞳」を探したのですがご縁がなく、「高値の花」なお米でした。
そのような中、後発として出てきた「銀の朏」に出会ったのが今から8年ほど前。
当時、「銀の朏」グループも取引先を探していたところだったので、運よく取引を開始することができたのです。
えげつない旨味のある「銀の朏」
この「銀の朏」の味ですが……
まず粒の大きさがコシヒカリの1.5倍もあるため、口に含んだときに口中が粒の旨味で占領されるような口福感を味わうことが出来ます。
粒のややしゃきっとした食感の向こう側には、でんぷんの旨味がこれでもかと口中にほとばしり、舌の深いところまで一気に到達します。私はこれを「えげつない旨味」と呼んでいます。
噛めば噛むほどに甘みは耳下腺を刺激し、いつまでも咀嚼していたい欲求に駆られます。
そして止む無く飲み込んでしまった後でも、その甘味の余韻が喉元に残っている……。そんなお米なのです。
当時、いくつかのテレビ番組に呼ばれたことがあり、そのなかで「銀の朏」を紹介したところ、出演者の皆さんからは大絶賛。今でも弊社からご購入いただいている芸能人の方もいらっしゃいます。
また以前あるマルシェで、試食付きで「銀の朏」の販売を行ったことがあるのですが、試食したそばから売れていくという、ものすごく営業力のあるお米であることを実感しました。
以前は「魚沼産コシヒカリ」で使っていたフレーズ「まず間違いのないお米」という言葉は、いまやこの「銀の朏」のためにあるような表現です。
産地見学に行ったことがありますが、圃場(ほじょう)のある地域は標高が高く、水が冷涼で豊富な地域でした。この地域だからこそ、昼夜の寒暖差もあり、また美味しい水が稲を健康にはぐくみ、稲はそのポテンシャルを十分に引き出すことができるのです。
生産者グループは毎年高評価を得ながら、けしておごることなく栽培に真面目に向き合っています。生産量を徒に増やさず、自分たちで管理できる範囲でしか栽培していません。その技術と思いの高さは、今年のような酷暑であっても品質が落ちていない……という事実にも表れているのです。
この記事を書いてくれた人:小池理雄(小池精米店三代目)
1971年原宿生まれ。明治大学卒業後、会社勤務を経て2006年に小池精米店を継ぐ。五ツ星お米マイスター。テレビやラジオ、新聞、雑誌、ネット等のメディア出演多数。
共著「お米の世界へようこそ!」(経法ビジネス出版)